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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十四話 名剣か魔剣か 
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に座っていましたから。ドアを開けると書記局の人が居ました。
「荷物が届いています」
と言って両手に抱えた箱を差し出します。結構大きいです。二つ有ります。

受け取ると書記局の人が
「大変でしたよ、諮問委員会の他にも最高評議会と書記局にも届いています。テロの可能性も有りますからね、保安部が総出で確認しました。問題が無い事を確認しましたのでお受け取りください」
と言いました。

「御手数をおかけしました」
と言うと“こちらこそ結構な物を頂きました。委員長閣下に宜しくお伝えください”と言われました。え、ヴァレンシュタイン委員長からなの、これ。会議テーブルに置くと皆が興味津々といった表情を向けてきました。

「ヴァレンシュタイン委員長からなの?」
「そうみたいですね、パール委員。ヴァレンシュタイン委員長がフェザーンから送ったみたいです。物は……、ヴァロアの御菓子?」
誰かが口笛を吹きました。

「フェザーンからヴァレンシュタイン委員長の名前でヴァロアの御菓子って、そりゃテロじゃないかって保安部が心配するのも無理は無いね」
「そうそう、おまけに最高評議会と書記局にも送るなんて委員長も何を考えているんだか」
「本人は甘党だから喜んで貰えると思ったんでしょう」
リード、クライ、ディーレン委員が困ったものだと言いたげな表情をしています。声には苦笑いの響きが有りました。

「こっちは皆イゼルローンの反乱で困っているのに……、御土産だなんて……」
「委員長にとっては反乱なんてもう終わった事なんでしょうね」
デロリアン委員とフレインバーグ委員は半分泣きそうです。可哀想、慰めてあげないと……、こういう時は甘いものが一番です。

「折角ですから頂きましょうか。ヴァロアの御菓子は美味しいですよ、今コーヒーを淹れます」
「……」
なんで皆黙るの? それに変な目で私を見てる。ヴァロアの御菓子は美味しいんです、本当ですよ。



宇宙歴 796年 10月 4日  ハイネセン 最高評議会ビル  ジョアン・レベロ



最高評議会のメンバー十三人が会議室に集まった。皆の前にはそれぞれ小分けにされたクッキーが置いてあった。
「これが例のクッキーかね、大騒ぎになったと聞いているが」
私が問うとトリューニヒトが肩を竦めた。

「そうだ。これの所為で最高評議会ビルはとんでもない騒ぎになった。地球教の残党がフェザーンからヴァレンシュタイン委員長の名前を使って危険物を送って来たんじゃないかとね。保安部は化学、生物、放射能、核、爆発物、それぞれの探知機を総動員して調べたそうだよ。検疫済みだ、銀河で一番安全なクッキーだ、まあ味わってみてくれ」

会議室に苦笑が満ちた。何人かは肩を竦め何人かは溜息を吐いている。全くとんでもない事をする
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