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ファイナルファンタジーT
5話 『成すべき事』
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りがひとつ。ベッドの隅に腰掛けている存在は、羽付き帽子は外しているがマントは脱がずに、露な白銀の長髪流れる頭部を少し下向かせ、仮眠しているようにも見受ける。

……赤魔道士、マゥスンの居る部屋と間違えたらしいランクは、一瞬我を忘れてその姿に見入る。

────視線に気付いてか、マゥスンはおもむろにランクに目を向けた。

その瞳は艶のある漆黒のようで、白銀の長髪から覗く端正な顔立ちはあくまで無表情だった。


「 ………何だ」

「ハ………? あ、いやッ、間違えた、だけだ、部屋ッ」

「 そうか 」

「じゃ、邪魔したなッ。いや、ちょっと待てよ……。そーいや、アンタに"借り"作っちまってた、な」

「 ………気にするな」

 マゥスンは淡々としており、ランクから顔を逸らす。

「ひとつ……、聞かせろよ。アンタこれからどうする気だ?」


「 役目を果たす 」

「マジで予言ってのに従うつもりか?」


「 ……意志の無い者に、共に来いとは云わない」

「イシ……? 確かにオレにゃンなモンねーよ、成り行きでこうなっただけだしな」


「 この先をどうしようと、貴様の勝手だ 」

「いいのか? 予言の光の戦士ってのは"4人"だぜ」


「 ……問題ない 」

「あーそうかよ、ンじゃこちとら勝手にさしてもらうぜ。……邪魔したなッ」


────────────


「あ、おはようランク。よく眠れた? って、ぷふっ! 何その頭!」

 翌日、偶然個別の寝室のドアから一緒に出て来て、ただでさえ無造作にツンツンしている茶髪が寝癖で更にボサボサになっているのを見た白魔道士のシファは、つい吹き出してしまった。

「身支度くらい済ませてきたらどう? バンダナだってしてないじゃない」

「それよかオレ……オマエに云っときてェんだけどよ……」

「え……、え? 何、急に改まって……?」

「なぁ、聞いてくれよ……オレは──── 」

(これってまさか、いきなりランクがわたしに、告……!?)

「ふわあぁ……おはようございまスぅシファさん、ランクさぁん」

 寝ぼけ気味だがとんがり帽子はしっかりと被って、黒魔道士のビルも起きて来た。

「(もう、いい所だったのにっ)……お、おはよビル!」

「はれぇ? マゥスンさんは、どうされたんでスかぁ??」

「まだ寝てるよーなヤツには、思えねェけどな……」

「声、掛けてみようか。マゥス〜ン、起きてる〜?」

「 ────あ、皆さん、よくお休みになられましたか?」

 使用人らしき女性が、客間にやって来た。

「赤魔道士の方でしたら、先に起床されて謁見の間へ向かわれましたが………」


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