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NARUTO 桃風伝小話集
その18
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見人に持つ子は、実は、里の中には決して少なくない。
そして、そういう子は大抵、何かの任務で両親共が殉職してしまった忍の子であるのが殆どだ。

だからナルトも、きっと両親は忍だったのだろう。

三代目が後見人を務めるくらいなのだ。
きっと、それなりに腕が立っていたに違いない。

だからなのか、アカデミーでのナルトの姿からは、必ず忍になるのだという決意と気迫が伝わってくる。
そんなナルトにとって、この冊子は得がたい宝にも等しいのだろう。

なので、思わずぽろりと口にしてしまった。

「別に、あんたにもそれ、付けてあげるわよ。あんたはもうあの子買ってくれる訳だし。サスケ君にあげて、あんたに付けてあげないんじゃ不公平だもんね。だけど、その代わり、大事にすんのよ!それ、本当だったら、中忍LVにならないと手に入らないものなんだからね!」

きっ、と睨み付けながらナルトに言えば、ナルトはびっくりしたようにイノの顔をきょとんと見つめた。

大きくて澄んだ青い瞳が、真っ直ぐにイノを見つめる。
思わず、どきり、と胸が高鳴った。
憧れているサスケとは赴きが大分違うが、こうしてみてみれば、ナルトの造作は案外整っていて悪くない。
どちらかといえば、愛嬌があって、可愛らしいほうだろう。

そんなナルトに見つめられ、思わずイノの頬に血が上りかける。
だが、すぐに触れれば切れるような殺気に似たものを感じ、イノは気を引き締めた。
思わずその殺気の源へと視線を向ける。

そして、視線の先で、すっと静かにイノから視線をそらすサスケの姿に、イノはなぜか冷や汗をかいた。
こうして折に触れ、二人を知る毎に、何か、どことは言えない違和感を、ナルトではなく、サスケにこそ、イノは感じるようになっていた。

もちろん、そんなものはイノの気のせいに違いないのだが!

「本当!?」

ぱあ、と。
まるでひまわりが咲き誇るような明るい表情がナルトの顔に広がっていく。
目の前でそれを見つめながら、イノは、ナルトのこの笑顔は嫌いじゃないと素直に思った。

「アタシは嘘はつかないわよっ!」

イノの混乱になど微塵も気付きもせず、心底嬉しそうに無邪気に問いかけてくるナルトはイノから見ても確かに可愛かった。
そしてナルトは、本当に、純粋に、雛の刷り込みみたいに、ただただ無邪気にサスケに懐いているだけなのをイノは知っている。

ナルトの情緒はどこか幼い。
なのに、ナルトの言動は酷く大人びている。
ナルトはその在り方がどこか歪だった。

そんなナルトが、気になるサスケの周りをうろちょろするのは気に入らないと思っていたのだけど。

「ありがとう!山中さん!」

頬を桃色に染めて、嬉しそうに礼を言うナルトの顔を見ていると。
サスケの
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