その18
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によって、イノが興味を引きたかったのはサスケだったのだが、予想に反して釣れたのはナルトのほうだった。
レジ台の上の冊子を何気なく手に取り、ぱらぱらと目を通し、目の色を変えてサスケに詰め寄り始めた。
「サスケ!サスケ!サスケも一緒にこの子買おう!サスケもこの子買ってくれないと、山中さんこの冊子はつけてくれないよ!僕、これ欲しい!ねえ、サスケ、お願い!」
頬を紅潮させて、サスケにねだり始めたナルトの姿に、イノは思わず頬を引きつらせた。
こんな子供っぽい姿のナルトなど、初めて目にした。
「なんだ、それ」
「これ!薬の調合法が載ってるの!!!!」
そんなナルトの姿に興味を惹かれたらしく、ナルトが差し出した冊子をぱらぱらとめくり、サスケは興味なさそうな声を出した。
「……ふうん」
それはそうだ。
この冊子に載っている物は、代々続くような忍者の家に生まれた子供ならば、小さな頃から親の言いつけで作った事があるような傷薬やシップ薬、解毒薬のようなものばかりなのだから。
もちろん、その家々によって、独自の製法があり、製法の数だけ効力は様々だろうが、大本の基本は大体一緒だ。
イノが取り出したのは、それらの基本部分を書き記した冊子だった。
そもそもこれは、忍の家ではない生まれの中忍に、自然と上忍に必要な知識を持たせる為の里の知恵だ。
理解できるのであれば、誰に渡そうと制限はない。
中忍以上にしか渡さないのは秘密だからではないのだ。
下忍レベルでは、材料を揃えるのも難しいし、何より、忍としての技術が追いついていず、理解するにも一苦労だろうという観点から、中忍以上と縛られているだけだ。
「意外と使えそうだな。花を買うだけでこれが付いてくるなら悪くない」
だが、思ったよりも興味深そうな言葉がサスケの口から続いて出てきて、イノは驚いた。
そうして、はっとなる。
『うちは』は、サスケを除いてこの里にはもう誰もいない。
サスケにも、ナルトと同じく、こんな基本的な薬の調合を教えてくれるような人間は誰も居ないのだ。
イノやチョウジやシカマルと同じく、木の葉の名家のひとつの『うちは』を背負うサスケなのに。
本当だったら、サスケもイノやイノの幼馴染達と同じく、これらのものは納めていて当然の立場だったはずなのに。
「だろ!?僕、この傷薬調合してみたい!それと、この軟膏も!これ、万能薬になるって書いてある!」
宝物でも見るかのようにきらきらと目を輝かせ、冊子を開いてサスケに詰め寄るナルトを間近で目にし、イノはなんだか二人が不憫になった。
イノも良く知らないが、ナルトは幼い頃からいつも一人だった。
三代目が後見人を務めていると聞いた事がある。
三代目が後見人なのは珍しいが、中忍や上忍を後
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