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久遠の神話
第百八話 最後の戦いその六
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「僅かな、そして」
「そしてですね」
「勝敗は一瞬でつくわ」
 それがつく時はというのだ。
「まさにね」
「そうした勝負なのですね」
「そうよ、私もここまで何もかもが互角の闘いは」
 女神であり神話の頃から生きてきている智子、アテナ女神である彼女でもだというのだ。
「見たことはないわ」
「それも、ですね」
 今度は豊香が智子に言ってきた。
「これ程までのレベルでのそれは」
「ないわ、あの二人はもう」
「既にですね」
「私達を超えているわ」
「神を」
「その強さではね」
「神をも超えていますか」
 豊香も二人の闘いを見ている、二人は今は技を使わずそのそれぞれの剣に力を帯させたうえで激しい攻防を繰り広げている。
 宙で斬り合う、その度の銀の剣と剣が打ち合う火花が飛び散る。 
 水と魔、そして剣と剣の銀の三色の火花が。今戦場をその三色の火花が照らし二人はその中央にいる。
 その二人を見てだ、こう言うのだった。
「確かに。言われてみれば」
「わかるわね」
「水の剣士はテューポーンも倒しましたね」
「ええ」
「ゼウス父様も苦戦したあの巨神に」
「そして魔の剣士もね」
 加藤も、というのだ。
「相当な戦いを積んできたから」
「今はですか」
「二人共よ」 
 まさに、というのだ。
「神をも超えた強さよ」
「そうですね、では」
「そのレベルが高いが故に」
 それで、というんだ。
「一瞬でもよ」
「乱れれば」
「その乱れた方が負けるわ」
「そうした闘いですね」
「気が抜けないわ」 
 見ている方も、というのだ。
「本当にね」
「ですね、私もそう思います」
 豊香も智子のその言葉に頷いて答えた。
「これは」
「どうなるかね」
「わからないですね」
「いえ、そうした闘いでもです」
 樹里はだ、この状況でもこう言った。
「上城君は勝ちます」
「言い切れるのね」
「はい、わかります」
 彼には、というのだ。
「何があっても」
「では」
「はい、私はこうしてです」
「彼が勝つのを見届けて」
「その後で」
 戦いのだ、その後でというのだ。
「上城君とお祝いします」
「そうですか、では」
 聡美は樹里のその揺るぎない態度を見て自分も落ち着いた、そしてだった。
 そのうえで二人の闘いを見守った、すると。
 その激しい闘いの中でだ、ほんの一瞬だった。
 加藤は目を鋭くさせた、そのうえで上城に言った。目は瞬時に戻して。
「面白いな」
「この闘いがですか」
「ああ、こんな楽しい闘いははじめてだ」
 こう言ったのである。
「緊張、生死の境目のそれがな」
「楽しいですか」
「最高だ」
 そこまで楽しいというのだ。
「これこそが闘いだ」
「だからですか」
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