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トワノクウ
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第十夜 吟変り(三)
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まりたやすく人を信用できないんです。君が現状に何をもたらすかは知りませんが、一応何の犠牲が出るかは見張っておかないとと思いまして」
「――」

 くう頭を下げた。

「お任せします。良いように計らってください」

 いくらくうが朽葉と沙門の関係者でも佐々木にとっては危険因子になりうる存在だ。佐々木の判断は妥当だから責める気はない。苦しいものはあるがきっと今だけ、すぐに潔白が証明される、と押し込めた。

「くうも、元から人間はそんなにいいものじゃないって知ってます」

 佐々木は首を傾げた。くうは続ける。

「でも、だからこそ、優しくなりたいとか正しくいたいとか、よりよいものであろうとする気持ちが、とても好きです」

 ――生まれながら綺麗だったものが歪んでしまったと思うより、そのほうがずっと誰かを好きになれる、と尊敬するあの先生は言った。

「――どうやら君『も』、長生きできない種類の人間のようですね」

 去り際に佐々木のそんな台詞が残された。



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