第七十九話 マラソン大会その十
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「じゃあ男女両方な」
「全員完走しような」
「仮装は各自でもな」
「それでもね」
「ええ、じゃあそういうことでね」
書記は話をまとめてこう述べた。
「お互い頑張りましょう」
「そっちもな」
「頑張れよ」
男子部員達は最後はエールを送った、そうしてだった。
彼等の場所に戻って準備体操をしてだ、そのうえで。
男子部員達はランニングをはじめた、そして女子部員達も。
部長がだ、笑顔でこう言った。
「じゃあね」
「うん、今からね」
「私達もね」
「まずは準備体操をして」
それからだというのだ。
「走るわよ」
「わかりました、じゃあ」
「今日も」
「マラソン大会の時と同じだけ走るから」
それだけの距離を、というのだ。
「今日走れたらね」
「完走もですね」
「出来ますね」
「そうよ、今日走られたらね」
本番でも、というのだ。
「走られるでしょ」
「そうですね、同じ距離を完走出来たら」
「大丈夫ですね」
「だからよ、今日はね」
あえて、というのだ。
「長く走るわよ、わかったわね」
「わかりました」
「じゃあ」
「皆で完走するわよ」
先頭に立って言う部長だった、小柄な身体が今は妙に映えている。
「今日もね」
「完走したらジュース一本ずつよ」
副部長はこうも言った、ここで。
「わかったわね」
「ジュースですか」
「それですか」
「一人一本、先生が出してくれるわ」
顧問の先生が、というのだ。
「完走すればね」
「じゃあジュースの為にも」
「是非にですね」
「そう、いいわね」
一年生達に言ってだ、そしてだった。
女子軽音楽部は全員で走った、実際にマラソンコースと同じ距離を走るとかなりの量だった。しかしその距離を。
全員走った、何とか。
その中には当然ながら琴乃達もいた、琴乃は完走してからへたり込んで全身から汗を流しながら言った。
「いや、本当にね」
「長かったわね」
「ハードだったわ」
景子と彩夏もその場にしゃがみ込んでいる、そしてはあはあと苦しい息を出しながらそのうえで琴乃に応えた。
「思った以上に長かったわね」
「これだけ長い距離走ったのはじめてよ」
「もう何時ゴールかっていう位」
「とんでもない距離だったわね」
「そうね、けれどね」
それでもとだ、琴乃は苦しい息を出しながら二人に言った。
「完走出来たわね」
「ええ、何とかね」
「それはね」
「いけそうね」
「皆完走出来たし」
「ああ、何とかな」
美優も応える、彼女はへたり込んでいないがそれでも汗を激しく流していて息は荒い。
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