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新米提督お仕事日記
よん。
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かできる手段、方法を持っている、または知っていると推測できる」
「それで?」
「それで、だね。ええと───」
 そこから先が考えられない。敵艦を見るに、一隻一隻が全長100メートル程。それが数機迫ってきているのだ。相対するにはそれと同等か、それ以上の戦力が必要になる筈。だが先に言ったようにこの港には『軍艦』が存在しない。更に付け加えれば、電ちゃんは私にこうも言った。『この鎮守府に軍人は私以外に居ない』と。あんなの相手に非武装でどうしろってんだ。説得か。説得なのか。
「まあ、そこまで考えられているのなら合格としましょう。司令官さんの考えている事は分かります。『戦う艦も乗組員も無いのに、どうやって敵に立ち向かうのか。対抗手段が考えもつかない』」
 語りながら、すたすたと埠頭──海へと向かって歩き出す。
「電ちゃん?」
「答えは簡単、単純明快。そのものずばり、電が単身、彼らをやっつけに行くだけなのです」
「はあぁ!?」
 彼女は言うだけ言ったとばかりに海に飛び込んだ。なにやってんだこの子。私はついてきてくれない思考を置いて泡を食って駆け寄り───

「技術はどこまでも“縮小”と“集約”に突き進みますよね」

 悠然と水上に直立する彼女の姿を見て、あんぐりと口を開いた。
「艦が海上に浮くなら人間だって浮きますし、艦が砲撃するのなら、人間だって砲撃できるのです」
「……あー、ええと」
 これっぽっちも理屈になってないし。
 ……ええい、この際どうでもいいわ。
「電ちゃんが言いたい事を要約すると、だ。
 君は一人で海上を進め、かつあのよく分からないエイリアンチックなオバケ共に勝利が可能と」
「そういう事になるのです」
「───ふむ」
 悪びれずに肯定される。……あ、訂正。戸惑ってる私見てこの子すんごい笑ってる。超笑顔。うわーくやしー。
「ま、それだけ分かれば十分かな」
 無理矢理に思考を詰める。事態はそれなりに切迫しているみたいだし、考え事は後回しだ。
「そんじゃー電ちゃん」
「はい」
「やっちめぇ」
「了解なのです」
 習いたての『海軍式』敬礼で見送る。電ちゃんは自信に満ちた表情で敬礼を返してから、とんでもない速度で水面上をぶっ飛んで行った。なにあれ。レーシングカーも真っ青の超加速なんだけど。
「まー、勝つでしょあの子なら」
 だってあのバケモノ共より電ちゃんの方が百倍おっかないし。
 ……とりあえず、資料ちゃんと読み込んでこよう。

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