第三話 三
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彼を殺すのは惜しいと思ったよ、だけど彼はきっと私の非人道的な実験を好ましく思わないだろうからね、邪魔になる前に彼を殺したのさ」
「なんてことを…… よ、よくもおおおおおお!!」
男の答えに、藍川は激昂し、彼に向けて銃を何度も発砲する。
彼は銃弾を掻い潜ると、不敵な笑みでパチンっと指を鳴らして何者かに命令した。
「殺れ、健吾」
彼が言葉を発したその刹那。
男の隣に右腕が刃になっている男が現れ、藍川に向かって特攻する。
「下がれ! 狙いはお前だ!」
新田は素早く銃を健吾と呼ばれる右腕が変異した適合者に構えて、引き金を引いて弾を連射する。
だが、健吾は銃弾を全て刃で撃ち落とすと左手のピストルで藍川の頭と右目を撃ち抜き、刃で近くの新田を袈裟斬りした。
「ごぷっ…… くそ…… ったれ…… みんな…… ごめ……」
藍川が頭から血と脳漿を出しながら倒れると、続いて新田が、ボトボトっと裂かれた腹から内臓と腸を零し、口から血を吐き出して仲間の敵を取れなかった事を懺悔しながら倒れる。
「みんな…… みんなを良くも…… う、あああああ!!」
天羅が死んだと聞かされ、更にとうとう残された二人も一瞬にして死に、結月は自暴自棄になって銃を健吾に向かって乱射する。
健吾は結月の攻撃を新田と同じく弾くと、逆に彼女の間合いに詰め、反撃した。
「ぐっ!」
健吾は刃を切り上げ、結月は持ち前の反射神経で何とか身体を逸らして回避する。だが、その時に少し動きが遅れて右腕が切り落とされてしまった。
彼女の華奢な右腕は血と臓物だらけの地面に転がり、そこでまた新しい血の池を作り出す。
結月は右腕のあった切り口からドバっと噴水のように血が流れ、痛みで膝を折る。
彼女が動けなくなり、座り込むと、ゆっくりと健吾は彼女に近づいて首を刎ねようと刃を大きく持ち上げた。
「結月まで死ねばアリスが更に悲しんでしまう、それだけはさせない」
健吾が無表情で刃を振り下ろしたその時、ナナシが左前足のブレードで彼の刃を受け止める。
そして、ほとんど戦意を喪失してしまっている結月をナナシは優しく口に咥えて身体を持ち上げると、健吾の刃を弾いて隙を作り、素早くその場から退避した。
「おやおや、本当は私が逃げる立場だったんだがな。まあいい、健吾、奴らを追いかけてそのまま殺せ。逃がすなよ」
司令官はそう健吾に命令をすると、背中を向けて振り返る事もなくどこかへと歩いて行った。
健吾は彼の背中にこくりと頷くと、逃げていったナナシ達を追いかける為、走る。
「ゆづき、だいじょうぶ!? そ、それにみんなは……? ナナシ?」
ナナシは逃げる途中にアリスを回収すると、まだ崩れていな
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