第一部 刻の鼓動
第一章 カミーユ・ビダン
第三節 月陰 第四話 (通算第14話)
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のコーウェン派の追い落としを図った。『デラーズの乱』はハイマン准将とコリニー大将に利用されたのである。
「ジオンの残党ったって、もう大きな組織なんて残ってないだろ?」
「最大勢力だったデラーズ軍は潰滅したって、アクシズがいるさ」
デラーズの乱の首謀者エギーユ・デラーズ中将は、ジオン残党の中でも最大級の規模を誇った。彼はギレン・ザビ親衛隊長であり、親衛艦隊司令官であり、キシリア・ザビによるギレン暗殺を悟るといち早く〈ア・バオア・クー〉宙域より撤退し、兵力を温存した。他にも思い思い落ち延びた者たちは多く、それでもなお終戦後の共和国軍は連邦軍を超える兵力を持っていたということは、如何にジオンが勝利を掴む目前にいたか、誰よりもジオン公国軍兵士たちがよくわかっていた。だからこそ、前線の兵士たちは共和国政府を「裏切り者!」と罵ったのである。
事実、戦後武装解除に応じ、帰国命令に従った将兵の多くはダイクン派の下級将校と兵士たちであり、ザビ派の将校は地下に潜ったのである。
そして宇宙世紀〇〇八一年八月十五日、ジオン公国国慶節を機にジオン公国軍残党の反地球連邦運動が活溌化した。この拡大を懸念した地球連邦・ジオン共和国政府首脳は十月までに両国の相互撤退を決議し、戦後調査団を派遣することに同意した。
宇宙世紀〇〇八一年十月二十五日に両国政府に提出された戦後調査団の報告書に驚くべき事実が明らかにされる。先のデラーズ中将率いる一個艦隊に加えキシリア・ザビ親衛隊の一個戦隊が終戦直前に戦線を離脱していたのだ。〈グラナダ〉に駐留していた連合機動艦隊の旗艦《グワジン》以下ムサイ級軽巡洋艦四隻――つまり親衛隊の一個戦隊と第七機動歩兵師団から大隊規模がグラナダを離脱、行方不明になっていたのである。さらに、ジオン共和国に撤収中であったキシリア・ザビ麾下の精鋭、海兵隊シーマ・ガラハウ准将麾下の一個戦隊が逃亡したのだ。
このことは地球連邦政府が思惑として描いていた軍縮を地球連邦軍に受け容れさせない原因となったのは言うまでもなかった。
そして、宇宙世紀〇〇八三年十一月十日、デラーズ中将に率いられたジオン公国軍残党は〈コンペイトウ〉鎮守府にて行われた連邦宇宙軍観艦式を襲撃した。地球連邦軍が秘密裏にすすめていた新型ガンダム計画の核搭載型モビルスーツを奪取されてのことであり、奪取されたガンダムによって襲撃は成功したのだ。これにより宇宙艦隊の実に三分の一が失われ、地球連邦軍宇宙艦隊は大混乱に陥った。さらに、彼らの蜂起はそれに留まらず、『コロニー落し』を敢行したのである。この時、連邦軍は派閥対立によって後手に回り、ソーラシステムによるコロニー落下阻止に失敗した。この事件を逆手に取り、コーウェン中将を失脚させたコリニー大将とジャミトフ少将は〈デラーズフリート〉のガラハウ准将と共同作戦を展
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