第一部 刻の鼓動
第一章 カミーユ・ビダン
第二節 配属 第三話 (通算第8話)
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ダンスの内容はカミーユが授業で習った程度の内容だ。
グラナダとサイド3の歴史的結びつきは、グラナダがサイド3建設のためにつくられたことでもわかる通り、グラナダは実質的にはサイド3の一部といっても過言ではない。グラナダの工業力はサイド3からの電力供給によって賄われているからだ。月の半ばを闇の世界に没さなければならないグラナダが最寄りで電力生産を行えるサイド3と友好関係を結ぶのは当然の成り行きである。
そんな中、宇宙世紀〇〇五九年、前年のジオン共和国独立を受けて、連邦政府はバルト政策――ジオン共和国に対する経済制裁を決定した。これは実際には無意味な行為だった。サイド国家は自給自足可能な恒久都市として建設されていたため、サイド3の経済に混乱はなかったからである。逆に窮したのはグラナダを始めとする月の裏側にある諸都市で、これらの都市は、地球連邦政府の経済制裁に加わらず、ジオン共和国寄りの態度を崩さなかった。
これを受けて、前年正式に発足した宇宙軍は六〇年代軍備増強計画を実施、手始めにルナツーを軍事基地化、宇宙世紀〇〇六四年には、新造されたサラミス級宇宙巡洋艦を中心に観艦式を強行し、地球連邦軍の威容を各サイドへ見せつけることで、独立へ走ろうとするスペースノイドを牽制しようとした。確かに各サイド政庁は弱腰となり地球連邦に面従することとなった。しかし、市民レベルでは、ジオン共和国の移民への呼びかけに走らせることとなり、かえってジオン共和国の人的資源の補完させる結果となってしまったのである。
そして、宇宙世紀〇〇六七年、連邦政府は、ジオン・ズム・ダイクンが提出したコロニー自治権整備法案を棄却、ジオン共和国は平和的解決の道を閉ざされてしまう。さらに翌年、ダイクンが暗殺されると、共和国内でダイクンと対立していた盟友デギン・ソド・ザビが第二代首相となり、デギン・ザビは、独立のための中央集権組織を作る方便として公国制をしき、宇宙世紀〇〇六九年八月十五日ジオン公国宣言がなされた。
これらは全て、地球連邦政府が引き起こした官僚主義による政府の柔軟性の欠如によるものだった。宇宙世紀に入り、人口の八〇%も宇宙に居住する時代になって、未だに宇宙生活や宇宙経済への認識がない地球連邦政府が、地球圏全体を掌握し支配しているといういびつな構造。そして、スペースノイドでありながら、地球連邦軍に入った自分たち。グラナダは最前線で反乱分子が多いにも関わらず、熟練パイロットや主流派は全く居ないという不自然な状況。何かが間違っているのは明らかだった。
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