35,再開と再開
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メンタルは柄じゃない。
「さてと。じゃあ、パワーアップした私の腕を見せてあげましょう。数と品質はどうするの?」
本題に入る段階で、俺は店の中をぐるりと見渡した。周囲に人はいない。まずは声のトーンを下げて当り障りのないところから聞いてみる。
「ちなみに、忙しいのか?」
「数人の攻略組から研磨の依頼があったけど、ほぼ終わってるわ。だから、今は新商品の準備中」
「つまり、開店休業状態か。なら、大口の依頼をしても問題ないな?」
俺のしゃべり方の余りの不自然さにリズベットが眉を潜めた。その顔にもう少しだけ顔を近づけながら、俺は囁くような声で注文を始める。中二病ではないけど、外で誰が聞き耳スキルを使っているとも限らない。
「とりあえず、短剣は10本分で、軽さとしなやかさをメインで頼む」
「10本!? そんなもんでいいの?」
この広いSAOのプレイヤーの中で、短剣を10本しか作らないと聞き返されるのは俺くりのものだろう。普通のプレイヤーなら、メインウェポンを2・3本、それに投擲用のピックを数本が関の山だ。
「ああ、構わない。その代わりといっちゃなんだけどさ、誰にも言わずにこれを作って欲しいんだ……」
口で語るよりも見たほうがいいだろう。オブジェクト化したのは耐久値が見るからに低そうな東洋風の巻物だ。慎重に開いてリズベットの前に転がす。リズベットは怪訝な顔で一度読み、びっくりとした顔でもう一度、そしてまさに職人顔になってさらに読み込んだ。
「クロウ!? これって……」
「数ヶ月来なかったのは、このクエストをこなしていたからだ。NPCからの報酬だから紛い物じゃない。で、作れるか?」
リズベットは俺の顔を見ること無く、巻物に没頭している。正直オレにはちんぷんかんぷんな巻物だった。きっと熟練した鍛冶職だけが意味を見いだせるようにプログラムされている――気がする。
「俺だって半信半疑だ。作って出来なきゃそれでいいし、失敗しても金なら払う」
ウィンドウのアイテム交換から全財産に近い額をリズベットへと転送する。見せたからには、やってもらわなきゃ困る。レシピだけ奪われました、じゃシャレにならない。
リズベットは、俺と、巻物と、そして送金した金を順番に見た。なんだ、閑古鳥だから金に困っているのかと思っていると、何故かその半額が俺へと突き返されてくる。
「やってやろうじゃない!! 残りは成功したらで構わないわ」
リズベットの瞳がメラメラと燃え上がっている。リズベットのゲーマー魂にどうやら火を付けてしまったらしい。初めて剣を作ってもらった時と一緒。こりゃ間違いなくいい武器が出来るだろうな。
「じゃあ、頼んだぜ!! 短剣の方は、攻略戦には間に合わせてくれ」
「あたりまえでしょ。あ
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