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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epos30銀薔薇騎士隊ズィルバーン・ローゼ〜PALADIN〜
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ていたからな。それにシグナムのクセや強さも、先の次元世界で十分理解していたから、それらがアドバンテージとなってシグナムを余裕でいなすことが出来たんだ。

「エヴェストルム。魔神オーディンらグラオベン・オルデンと共に行方知れずとなった伝説級の武装なんですが・・・、その、当時から姿の変わらないシグナムさん達や魔神オーディンと瓜二つのルシリオン君がいらっしゃるとなれば・・・」

騎士カリムが俺を見る。俺は小さく頷いた後、左手をそっとテーブル上に持っていき、中指にはめてある指環「エヴェストルム」をニュートラルで起動させる。30cmほどの柄の上下に1mほどの穂のある大槍――“剣槍エヴェストルム”が俺たちの目の前に現れた。

「エヴェストルムはオーディンやシグナム達のある戦闘によって全滅した後、セインテスト家の協力者によってベルカより回収されました。その後、歴代のセインテスト家の長男に受け継がれてきました。俺も長男ですから、こうして俺も扱えます」

「やはり魔神オーディンは戦死を・・・?」

俺の話を聴き終えた騎士カリムが確認するかのようにそう聞いてきたため、「やはり、とは?」と聞き返す。騎士カリムは話してくれた、古代ベルカ史において魔神オーディンとグラオベン・オルデンの晩年がどうであったのか、歴史学者の間で議論になっているそうだ。

「――病死・事故死・戦死・暗殺などなど。ですが、セインテスト家という魔神オーディンの血族、その本流の末裔らしいあなたが言うのであれば、戦死、が正しい魔神オーディンの結末だったのでしょう」

騎士カリムは「不謹慎ですがよいお話を聴けました」と満足そうだった。エリーゼの日記というものがいつから書かれ、どういった内容なのかは判らないが、オーディンの頃に彼女に語った天涯孤独という情報は現代にまで残されていないようだ。だからオーディンが死んでもセインテスト家が存続していると公言もしても問題ないわけだ。

(ま、すでに俺一人だけとなっているから今さら気にすることもないが)

それから俺たちは騎士カリムやヴェロッサ査察官から本局の話を聴いた。どこの料理店が美味しい、どの上司が厳しい、休憩するならどのカフェテリアがいい、などなど。俺たちからはどういう風に出会ったのか、これからどの部署で働くのか、ここミッドへ来た目的などを話す。そして最後にシャルが執務官補佐を辞めて嘱託魔導師へ異動したいと話した時・・・

「イリス、それってまずくないかい? イリスの御父上――リヒャルト司祭の反対を押し切って入局したのに、それをさらに我が儘で変更するとなると・・・雷が落ちるんじゃないかな?」

「お友達と一緒に同じ学校に通いたいという気持ちは判るけど・・・」

騎士カリムとヴェロッサ査察官が悩んだ。シャルの父親は色々と厳しい人
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