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ノヴァの箱舟―The Ark of Nova―
#7『ファーストリべリオン』:5
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本来ならば足場がなければ難しい空中での体勢移動を、超人的な筋肉と、主に《気功術》と呼ばれる霊術系統の武術を使用して行う、チャイネイの十八番だ。上空で足を振り上げ、《断頭台》の構え。だが、今回はそれだけではない。

 《闘気功》。足に闘志のオーラを纏わせる。それだけでなく、体中の霊力・魔力を注ぎ込み、一撃にすべてをかける。

「ぜぁぁぁぁぁ―――――――ッ!!」

 振り下ろされる足。チャイネイの繰り出す奥義の中でもかなり強力な部類に入る、《断頭台》のアレンジ技だ。第九師団で使えるのはチャイネイだけ。イーリンにも教えてあるが、今だ使用は不可能だ。チャイネイ自身、今まで師匠以外と自分以外が使うのを見たことがない。

「――――ッ!!」

 《魔王》が大きく目を見開いた、その瞬間。

 凄まじい爆発が起こり、視界が真っ白に染まった。



 ***


「キング!」

 チャイネイの足技は凄まじい威力だった。発生した爆発は、周囲を囲んでいた第九師団やメイたちをも巻き込んだ。幸い、全員が各々の術技で身を守ったが…因みにメイはシュートとククリが守ってくれた…。

 だが、キングは分からない。あの攻撃を直接受けたのだ。無事だろうか――――

「……?」

 爆風によって巻き上げられた砂埃が掻き消える。その中から見えたのは、獣化が解除されたチャイネイ。一体何のロジックなのか、傷一つついていない。

 そして――――もう一つは、半透明の障壁に守られたキングの姿。安心感から涙が出てしまいそうになる。その体を守っていた障壁は、時折表面にぱち、ぱち、と、電気の様な光を這わせていた。

 そこでふと、メイは気が付いた。キングの左頬。メイのそれと全く同じところに存在する、全く同じ形の《刻印》……《稲妻》が、淡く光り輝いている。思わず、あっ、と声を上げてしまう。

 キングを守っている障壁は、メイがかつてキングと出会う前、《教会》の雑兵に追い詰められたとき、不意打ち気味に使っていた閃光のフィールドと同じロジックによって動いているのだ。メイは攻撃に使用していたが、あんな風な防御に利用する方法もあるとは知らなかった。

「お見事!すごかったね、チャイネイも、そっちの赤い髪の毛のにーちゃんも」

 その時だった。場違いに明るい声が響いたのは。

 第九師団の団員をかき分けて姿を現したのは、六〜七歳ばかりの幼い少年だった。前髪だけが黒い長めの銀色の髪に、無邪気な光を宿した赤い目。しかし可愛らしく幼い顔立ちと体格とは裏腹に、少年が放つ気配は凄まじく強い。リビーラに匹敵するクラスだ。

 いったいどこから――――と困惑したメイは、上空に舞い戻っていく巨大な影を見た。大型の鳥だ。鷲か何かの仲間なのだろうが、メイが見たこ
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