#7『ファーストリべリオン』:5
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。滑るようにバックステップすると、巨大な三つ刃の刀――――《冥王》を大きく横に凪いだのだ。ずぱん、という激しい音が鳴り、空間がゆがめられる。
「む!?」
チャイネイと名乗った男が、なんと空中で姿勢を変えると、歪められた空間から離れた。人間の身体能力では考えられない。《十字騎士団》の団長格は超人の域に足を踏み入れているというのは実話なのだろう。さらに彼の《刻印》の能力…おそらく…で、彼は体の半分が獣に変わっている(恐らくは虎か何かだろう)。それらが生み出す圧倒的な身体能力が、チャイネイに凄まじいアクションを可能としているのだ。
だが、そこはキングも負けていない。《冥王》を構え直すと、今度は大上段から斬り下ろす。再びの次元断。
恐らくはこれが、キングとメイが、《聖印》に封じらていた術式、《王宮の勅令》で呼び出した《神器》、《冥王》の能力なのだ。強烈な次元断。次元断と言うのは、凄まじい斬撃の威力によって時空を引き裂く、剣術の奥義の一つだ。《冥王》はそれを強制的に発現させることが可能なのだろう。それだけではなく、さらに三本の刀身がそれぞれ共鳴し合って、次元断の強化、加えて力場の拡大をおこなっているのだ。
「凄まじい能力だな、その剣は」
「《現界断》、とか言ったかな」
そう言って笑うキング。
次元断を引き起こすには使い手の技量が必要。だが、《冥王》はそれを無視できる。確かに《神器》と言っても差し支えない。
しかし――――
「武器の能力だけでは勝てんぞ!!」
大上段からの斬り下ろしを難なく避けたチャイネイが、再び驚異的なスピードでキングに襲い掛かる。再び歪みの壁をつくり出すキング。だが、第九師団一の使い手は、軽やかなステップでそれを回避し、障壁の死角をを狙って襲い掛かる。
「っち……」
大きくジャンプをして回避するキング。だが、距離をとらせることを拒むように…実際拒んで居るのだろう…チャイネイがするすると近づいてくる。
キングは、どちらかと言えば圧倒的な力に頼って敵を殲滅するタイプの戦闘をする人間だ。彼は本来司令塔であって、戦うのはククリとシュート、そして時々リビーラの役目。メイほどではないが、彼もあまり戦闘慣れしているとは言えないのだ。
それに対するチャイネイ・ズローイクワットを始めとする《十字騎士団》のメンバーは、一級の訓練を受けた生粋の戦闘者集団だ。加えてチャイネイは十人しか存在しない団長クラスの一人。キングとの経験差は一目瞭然だ。
「どうしたどうした!」
チャイネイの腕から繰り出される攻撃は多彩だ。打撃もあれば、獣化した爪を使っ
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