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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜Cross world〜
cross world:交手
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打ちを漏らすルナ。
呆れるほど希望的な望みだったが、やはり腕一本切り落としたくらいでは自己矛盾を引き起こせるはずもないか。それで敵が勝手にパニクって自滅すれば楽だったのに。
ふぅ、と一息ついた少女は首を一度だけ振って、完全に思考を切り替える。
レベルも、技も、規模も。
何もかもが桁外れ。
ひょっとしたらレベル1の超初心者が、いきなりラスボスとエンカウントしたような絶望的状況で、腕一本切り落とした。それだけでも僥倖過ぎる。
無欲よりは良いが、無い物ねだりは過ぎると身を滅ぼす。
ポジティブに、しかし冷静に。
このシーソーを絶妙なバランスで保たなければ、目前の怪物には瞬殺されるだろう。文字通り、一秒を万の数字で細切れにした時間でも足りないほどの一瞬で。
奇襲という手札は使ってしまった。
知性は《予測》という行為を行う事ができるが、知能は《対応》しかできない。
だが、これも一度使ってしまった手ならば話は別である。すでにこちらの意図、手法を隅々まで洗い尽くし、その対応、対抗策にいたるまで練り上げられてしまっている事だろう。
こちらの切れる手札は、そう多くない。
そもそも、これだけポテンシャルに圧倒的な差のある相手に切れる手札など、多いはずもない。せめて相手が、言葉による意思疎通が可能だったならば、《話術》や《交渉》という、ある意味では戦わずしてこの場を収める可能性もありえたかもしれない。
―――《奇襲》はもう使えない。てことは、ジリジリ下がりながらの《持久戦》………?でも、それだと削られていってジリ貧になる可能性が高い…………。
一つの団のブレインを担っていた頃の記憶を思い出しながら、ルナは頭を高速回転させる。
チェックシートを埋めていくように、浮かんだ案の一つ一つの長所と短所、利益と損害を秤に乗せ、チェックをつけていく。
だが、その中の一つとして、明確な打開案が浮かんでこない。
思わず歯噛みをしそうになった着流しの少女の思考より早く。
状況が動く。
まず初めにルナが感じたのは、音だった。
「ごっ」という、何かの打撃音なのか呻き声なんだか判らない、そんな声。
次に感じたのは、眼球から入る景色の違和感であった。
一瞬前まで上空にいた《彼》が、いない。
最後に少女が感じた、というか理解したのは音の出所であった。
音源は近い。否、近すぎる。
距離は一メートルを切っている。いや、でも、だって、そこにいるのは――――
見るな、と叫ぶ本能があった。
聞くな、と喚く本性があった。
それでも、少女は見る。聞く。
己の隣にソレはあった。
少年は眠っているようだった。
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