第十二話 幼児期K
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たちの頭を撫でてくれます」
俺たちは一歩ずつ前に踏み出し、母さんの目の前まで歩み寄る。最後の一文。俺たちは目を合わせると、笑顔が自然に浮かんだ。手に持っていた手紙を母さんにさしだしながら、精一杯に声をそろえた。
「「そんな照れ屋で優しいお母さんのことが、わたしたちは本当に大好きです」」
******
満天の星空。今日は雲が少ないため、隅々まで輝くような星空が目の前に広がっている。俺とアリシアはプレゼントを渡し終えた後、家のベランダに出て、のんびり星を眺めていた。
「ちょっとびっくりしちゃった」
「はは、確かに。でも、母さん喜んでくれてよかったな」
「うん!」
手紙を読み終えた俺たちの前には、ぽろぽろ涙を流す母さんがいた。それに最初慌てたが、母さんは俺たちを抱きしめ、何度もありがとう、と言ってくれた。前に見た涙とは違い、申し訳なさや後悔はなく、そこには嬉しいという気持ちばかりが溢れているようだった。
お母さんったら泣き虫ね、と笑って涙を拭う母さんに、俺たちも笑顔で笑っていた。
「しっかし、きれいな星空だなー」
「ほんとだー」
ミッドチルダの都市群から離れた位置にあるここは、研究所以外はほとんどが自然に囲まれている。ぽつぽつと照らす明かりはあっても、その多くは暗い闇が覆っているのだ。その分、星の輝きがよくわかる。
前世では、どちらかというと都市部に住んでいたため、あまり星を眺めるということはしなかった。地球で見たときとは星の並びに違いはあれど、きれいなことには変わりはない。うん、たまには空をぼおっと見るのも悪くないな。
「ん、そういえばリニスとコーラルは?」
「さっき遊ばれていたよ」
「……えっと、そうか」
この妹は時々すごいことをさらっと言う。そっか、遊ばれているのか。食後の運動かな。リビングの方から悲鳴のようなものが聞こえてきたが、きっと気のせいだ。今日は余韻に浸りたいセンチメンタルな日なのです。
「ふぁー、さてイベントも終わりましたし、そろそろ寝ないかアリシア?」
「うーん、実はね。もう1こイベントがあったりするの」
「え、あったっけ?」
妹の言葉に俺は記憶を探ってみるが、なんにもヒットしない。悩む俺を面白そうに眺めるアリシア。結局わからなかった俺は降参だ、と両手をあげてギブアップを宣言した。
「答えはね…、私からお兄ちゃんへのサプライズイベントだよ!」
「あれ? その答えは俺絶対わからねぇんじゃね?」
「細かいことはいいの!」
「あ、アリシア。そういう時は、こまけぇこたぁいいんだよ!! と使うんだ」
「こまけぇこたぁ?」
「要練習だな」
あれ? なんの話をしてたっけ?
「じゃなくて、サプラ
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