終章 また会えましたね
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ろう。しかし、そんなのはお構いなしに私はあいつの待っているであろう場所に向かう。
教会の丘に着く。
あいつはいた。
真っ白な髪が風に揺られている。
その真っ赤な瞳も、透き通るような白い肌も、何ら変わらない楽しそうで、どこか不思議な表情は懐かしさを感じた。まるで、数十年ぶりに出会ったかのように。
「ミカドさん、ひさしぶりですね」
その男女の区別がつかない中性的な声が耳に響く。
私は靡く長い髪を耳にかける。
「ああ、今までここにいたのか」
「待ってるうちに気が付いたらこんな時間になってました。いやぁ時間って不思議ですね」
「おまえがいうなよ」
私は笑った。
温かな風が吹き、私は一呼吸置く。
「あのさ……俺たちが大国に連れて行かれそうになった時、イノが助けてくれたんだよな」
イノはにっと笑い、
「ミカドさんと約束しましたから」
そう言った。
「……はは、まぁ、ありがとな。でもさ、普通ここまでしてくれる人なんて」
物語の主人公ぐらいだぞ、というと、イノは笑い、
「僕とミカドさんが似ているからです」
「……似ている? 俺と?」「はい」
しかし、その質問に詳しく答えることなく、イノは話題を変えた。
「あ、ミカドさん、そろそろ受け入れることできましたか?」
「? 受け入れる?」
イノの不可解な質問に私は少し動揺する。
「身体ですよ」
「……あ」
そういえば、体の痛みもない。違和感もない。あのむず痒さもなければ、嫌悪感もなくなっていた。
「本当はまだミカドさんの身体はそのままですし、長い人生を歩むことも難しいです」
「……」
私は黙る。そうだ、現実は続いているんだ。
でも、
「それでもいい。イノの言う通り、受け入れなければ何も始まらない。どうしようもない。そう学んだよ」
すると、イノは無邪気に笑い、
「よかったです」
とだけ言った。
どんな因子でも、拒否をすればきりがない。でも、受け入れれば何かが変わるんじゃないか? 寧ろ良い方向へと行くかもしれない。でも、逆もあるかもしれない。
だとしたら、それも受け入れよう。
今の私は何かが変わっていた。
「なぁイノ」
「なんですか?」
「新聞にも載ってたけどさ、おまえ、他の国行って何をしてきたんだ?」
イノは私の瞳を見つめ、
「……変わらない未来を変えようとしただけです」
私は微笑む。
「そうか……それで、何か変わったのか?」
「うーん、それは神様にでも聞かないとわからないです」
「はは、まぁそうだよな」
「ミカドさん」
「ん?」
「残りの人生、十分に楽しんでくださいね」
「余計なお世話だ」
「大丈夫ですよ、あの世へ逝っても楽しいことあるかもしれないですし、あの世で死んだら、この世に戻って
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