十一章 赤い瞳
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は助けてほしいて言ってるのと変わらない」
「う……」
「ミカドはまぁ、担いでいくしかない」
「やっぱりそうなるか……っ、おい! あいつら戦車出してねぇか?」
その先を見ると、頑強そうな戦車が銃砲をこちらへ向けていた。
「せめて失神させるガス弾だと良いんだけれど……」
「ンなこと言ってねぇで早くミカドを担げ! 逃げるぞ今すぐ!」
だが、そんなことを言っているうちに砲口から鉄の塊が放たれる。
しかし、その砲弾は突如勢いを無くし、手前に着弾するが、不発のようで、地面に転がったままとなった。
「……? さっきからどうなってんだ?」
「分からないが、今は逃げるしか―――」
「無駄なことはしない方がいいですよー」
パンパン、と手を鳴らし、声をかけたのは質のいい軍服を着た30代ほどの女性だった。
同時に、周囲を軍兵と重兵器で囲まれる。
「……ここまでやられたら、チェックメイトだね、まさに」
「アマノ、今はそういう状況じゃない。正直ヤバいぞ、これは」
「はいはーい、もう逃げられないですよー。家畜は家畜らしく、飼い主に従いなさいな」
その女性の口調は飄々としていたが、その表情は鋭く、冷酷に近い無表情と言っても良いほどだった。
「監視局からは化物って報告が入ってるけど、まさかこんな、SFみたいな力を持つなんてね」
「…………」
「無視ですか? 家畜のくせに生意気ですね。はいじゃあ全機、撃ちなさい」
その淡々とした命令と共に周囲の戦車から砲弾が放たれる。
「―――っ!」
……のはずだったが、戦車から出たのは砲弾ではなく、爆炎だった。
『うわぁあああああ』
戦車全機が突然爆発を起こし、その鉄の巨躯がひしゃげ、崩れる。
『なーにやってんのよあなたたち。メンテナンスは毎日やってんでしょ?』
その事態を前にしても、自分の傍の戦車が爆発しても意に臆することはなく、変わらぬ口調で呆れるように大国の言語で話す。
『はい、ですが、何故このような事態になったのかは……』
『じゃあ次のやつ、どんどん出して、どんどん撃っちゃいなさい』
『はっ! 了解しました!』
何の計画性もない命令に兵は従い、次の兵器を起動させる。
「なんで戦車が一斉に爆発したんだ?」
「これもミカドの力か?」
「いや、俺は何も……」
『全兵、あの3人を直接、確保』
『はっ!』
何十人もの銃を持った兵が一斉にこちらへ駆け寄る。
だが、数歩手前で兵は何もない何かに悉く吹き飛ばされる。まるで目に見えない竜巻にでも巻き込まれて薙ぎ飛ばされたようだ。
「うぉぉ、マジか」
先程からの奇跡の連発に安堵感を持ったセイマは最早恐怖など感じてはいなかった。アマノも少しばかりか安心している。
だが、私は何故こんなことが起きているのかは不思議で
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