十一章 赤い瞳
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体をぶつけ、痛みが鈍く走るが、それよりも何が起きたのかとすぐさま視界を前に映す。曇天の明るさでも目が眩んだ。
「じ、事故?」
「交通事故にしては激しすぎだろ。しかもここ港だし」
「じゃあ何が……?」
先程まで私たちを乗せていたトラックが倒れる。私たちのいたそのコンテナは大きな鉄球にぶつけられたかのように潰れかけていた。
辺りを見回す。大国専用の運搬港という名の軍事施設なだけあって滑走路のように広く、あらゆる重兵器が大型駐車場にある自動車のように多く並べられていた。
「うぉぉ、戦車や戦艦だけじゃねぇぞ、戦闘機まである」
セイマは軍事施設を前に戦慄していた。確かにこんな光景を見れば、逃げられる気さえ起きてこない。
「……あ、今ので縄千切れた」
アマノは自由になった手で縛られた脚を解きはじめる。
「ホントか! じゃあ俺のも解いてくれ!」セイマの目に少しだけ明るさが戻った。
「わかった」
『おい! 何があった!』
『テロか?!』
大国側も動揺しているようで、この事態に困惑している様子だ。
『! おい! 今ので選抜者が!』
『縄が解けてる! 今すぐ捕まえろ!』
「……っ! まずい! 気付かれた!」
遠くにいた大国兵は駆け寄り、しかし十数メートル先で立ち止まり、銃を構える。
「……え、撃つのかあいつら」
「麻酔銃か、捕縛銃か……」
「に、逃げないと!」
しかし、時はすでに遅く、銃声が響き、銃弾と捕縛縄がこちらへ襲い掛かかるように向かってきていた。
(……畜生っ!)
しかし、それらは大きく外れ、私たちを通り越す。
『……なんで外したノーコン野郎!』
『いや、ちゃんと狙ったはずなんだが』
それでも容赦なく大国兵は撃ち続ける。だが、一発も当たることはなかった。
「どういうことだ……?」私はひたすらに考えたが、何もわからない。
『くそ! こうなりゃ直接捕まえるしかない』
『おいやめろ! あの二人はともかく、あそこの女は人間兵器の変異体だ。無闇に近づけば殺されるかもしれねぇし、もしかしたら今のもあの女の仕業かもしれねぇ』
何人かの兵が怒鳴り声で話しながら連絡器を片手にどこかへ去っていく。少しだけ安心したが、それもつかの間だった。
「なぁ……あいつらもしかして」
「重機使って俺らを捕まえるのか? 馬鹿じゃねぇの? せめて取り押さえるとかだろ」
「たぶん、ミカドが異質の身体だから警戒してると思う」アマノは冷静に話す。
「それでもやりすぎだろ。殺すのと変わりないんじゃねぇか!」
「騒ぐなって。ほら、ほどけたぞ」
「お、おお。てかミカドはどうする? 鎖じゃどうしようもないだろ。見るからに厳重そうだし」
「いや、気にすんな。おまえらだけでも―――」
「そういう嘘はよくないよ。それ言ったってこと
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