十一章 赤い瞳
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しで口を開く。
「最後まで三人揃って、か」
私がそう呟くと、ふたりはため息交じりに笑った。
「これも腐れ縁ってやつだな」アマノは言う。
「タクトが抜けてるぞ。それに俺はおまえらと出身校違うし」セイマが言う。
「でも、会社の中では俺たち一番の縁だよ」
「……それもそうだな」セイマは微かに笑う。
「ミカドはなんで俺たちより拘束が激しいんだ? 鎖っておまえ、猛獣同然だろ」
「その言い方やめい。放射線と、この変わった身体が反応して化け物みたいな感じになったからこう、厳重なんだろ」
「そうなんだ。だったら俺ら危なくない?」
「……いまのとこ大丈夫だから俺から離れるのやめようか」
そのとき、ガタン! と大きく揺れたあと、先程よりはあまり揺れなくなった。
「道が安定してきたな。てことは……」
「もう港かも」
「……はぁ、こわいな」
「今なら泣いてもいいんだぜミカドちゃん。俺に寄り添って愛らしくすすり泣い―――」
「誰がやるか変態野郎」
「セイマ、ある意味それ、ホモ発言」
「うるせぇな。こうふざけたことでも言わねぇと気が持たないんだよ」
「……じゃあ楽しく、好きな人トークするか」
「……あのミカドが女子的トーク。まぁ見た目は女子だし別にいいけど」
「……セイマ、どうした。お前らしくないぞ。涙なんて流しやがって」
「……そういうおまえこそ、目からなんか出てきてるぞ」
そう言われるまで、私も涙が流れていることに気が付くことができなかった。しかし、このぶつけようもない悲しいとも、怖いとも、不安とも言えない複雑な感情が心を満たしていたのは感じていた。
「……はは、流石のアマノも目に涙溜まってるぞ」
「さっきあくびしたんだ」
「おいおい、強がんなよおまえ」
「そういうセイマだって」
「……はは、それも、そう、だな……」
「……っ、ぅぅ……」
私たちは寄り添い、泣くのを堪える。しかし、涙は流し合った。
ずっと生きていたかった。死ぬなんて考えたことなかった。この先何が待ち受けているのか。そしてどうなってしまうのか。その未知の未来が怖かった。
私はすっかり信者になったのかもしれない。こんな現実的にどうしようもない状況でさえも私は、神様に助けを乞うた。
今まで信じなかった神様に祈る。どうせ何も起こらないのに。無謀な行為なのに。
私は……
奇跡を、信じた。
―――ドゴンッ!
「―――うぉあっ!」
「! おっと」
「な、なんだ?」
景色が傾く。いや、私たちを乗せたこの車が傾いているのか。
再び衝撃が車内で響く。車体はひしゃげ、貨物を取り出すための後ろの入り口が開きながら、そのまま倒れる。
「「うぉあああああああ」」
幾つかの荷物の箱と共に私たちは放り出される。アスファルトの地面に身
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