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世にも不幸な物語
第二章『幻想入り』
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とに成りかねないからあえて言わなかった。
「でもまさか引っかかるとはね、あたいも思わなかったよ」
 屍の肩を借りて立ち上がり不機嫌な顔して小町を睨んだ
「あははは、そんな顔しないでおくれよ」
 笑顔で言ってきた。
「・・・・」
 あんな笑顔で言われると、怒る気力がなくなってきた。
「まぁ、死神っていっても何も殺したりしないよ。ただ船を漕いで三途の河を渡るだけのしがない船頭さ」
「そうですか」
 小町と会話をしていて悪い人ではないと確信した。
 鎌を突き立てられた時は死を覚悟したけど。
「あ!」
 小町との和やかな会話で忘れていたが、三途の河は死んだら行く場所だとすっかり忘れていた。
「ん、どうした?」
 風が聞いてきた。
「え、だって小野塚さんが    」
「あたいのことは小町って呼んでいいよ」
「は、はい、解かりました。小町さんが三途の水先案内人をしているってことは、ここは三途の河で、俺らが今ここに入るって事は・・・・・俺ら死んだの?」
「いや、死んでないよ」
「え!?」
 風の即答にも驚いたし、その答えも驚いた。
「ここは三途の河でも、幻想郷の三途の河」
「げ!幻想郷!」
「そ、幻想郷。駅であった女の人覚えている?あの人は八雲 紫、教えた筈だが?」
 輝は記憶の中を探して、思い出した。
「思い出した!境界を操る人だ!そして神隠しの主犯!」
「よく思い出したな」
 風はなぜか誇らしげに頷いていた。
「いや〜、まさか本当にゆかりんがいるとはねぇ、驚いたよ」
 だれだって驚くよ普通。
 むしろZUN氏の方が何者だろう、と思う。
「本当にここが幻想郷だとしたら、お前ら詳しいはずだよな」
 輝は一つの希望が見えた。
 風と零は東方に関する事なら詳しいはず。
 一刻も早くもとの世界に戻りたい、そのことしか考えていなかった。
「詳しいことは詳しいんだが」
「だが?」
 輝が言ったあと一拍あけて言ってきた。
「詳しい道のりは、分からない」
 零も隣で頷く。
 目を丸くした。
希望が遠のく気がした。とりあえず落ち着いて聞き返した。
「だって、お前ら東方のこと詳しいんでしょ?なんで分からないの?」
「いいか輝」
 いきなり風が改めて言ってきた。
「確かに俺らは東方に詳しい。だが詳しい道のりはいく俺らでも分からないんだ」
「マジかよ・・・」
「永遠亭の場所は知ってるけどね☆」
 零がそう言うと、風は納得したように零と共に笑い出した。だが輝は笑える気分ではなかった。
 今にも場に崩れ落ちたい気分だった。
 最後の希望が断たれた。
 絶望という単語が輝の頭の中で連鎖してネガティブ思考になりかけた瞬間に小町が話しかけてきた。
「そこのカチューシャ君」
「・・・・」
「お前しか
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