九章 発症と処理
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様にむず痒くなっている左腕の袖をゆっくりと捲くってみる。
「―――っ、うわあああああああああっ!」
私は床にしりもちをつく。その左腕から離れるかのように。
手首から腕にかけて小さな赤い腫瘍が何十粒もの魚卵のようにぶつぶつと膨れ上がっていた。水疱瘡のようにデキモノは薄膜で、その中に細長い何かが漂っていた。
「へ……なに、これ…………ぁ……ぁぁああああああああああああ」
私は咄嗟に腕に発生したその大量の赤い球体を右手で一気に潰そうとしたが、その右手をイノに掴まれる。
「無闇に触らない方がいいです。それもなんとかしますので、一緒に来てください」
私はその言葉に従うしかない程、精神が崩れかけていた。
教会とは別にもう一つの建物が敷地内にあり、そこのトイレを使った。その建物の中にも人はいなかった。今日は営業してないのだろう。
洋式便所の狭い空間に私とイノは入り、内側の鍵を閉める。
「……どうするんだよ」
「まぁ今できてるものを処理しないと栄養とか細胞的に寿命を早く迎えてしまうので、とりあえず全部出しましょう。ちょっとお腹と背中みせてください」
言われるとおりに私は服の裾を上げる。女性らしい括れのある腰回りが顔を出す。
「あー、すっかり痣みたいなのできちゃってますね」
え、と思い見ようとするが、イノの言葉がその行為を制止した。
「みたら精神崩れますよ」
びくりと私は視線をまっすぐ見た。イノは構わず言葉を続ける。
「じゃあ、まぁとりあえずの処置法はわかったんで、服脱いでください」
「え?」
(今何言ったんだ? 脱げって?)
私は戸惑いを隠せなかった。それでもイノは平然とした表情だ。
「な、なんで?」
「なんでって、おなかの中に結構溜まってるのでそれを取り出す為に下から排出させようと……」
「ほ、本気で?」
「生きたくないんですか。それとも逝きたくないんですか?」
「……」
とりあえず、こんな純粋人間でも洒落は言うんだな。
「おねがいします」「オッケー」
そう気軽に言った。
全裸になるのは流石に恥ずかしかったので、トイレで用を足す感じで下半身の肌をすべて曝け出した。
男性(自分)のではない、女性(他人)の身体。私生活では何とも思っていなかったが、人前で、しかも公共のトイレで人間的に恥ずかしいところを出すのはある意味雪辱的だった。それでも、生きるためなら仕方がない。
イノは私の様子とその姿になんの興味も示すことなく、
「じゃあ中腰でお尻を便器に向けてください」
と言われ、壁に腕をつけ、尻を便器へ向けて突き出す。肛門と陰部がはっきりと見える程に。その姿勢にさらに恥ずかしさが増す。
「……これで、いいんだな……?」
はい、ばっちりですと呑気に言うので緊張感に欠ける。
「最
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