九章 発症と処理
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したことで都合よく簡単に考えを変えるからな。そんな不安定な思考がこの国の考え方を狂わせたって思ってる。綺麗事散々言いふらしておいて、結局他人事なんだよ。そうでない人もいるが、そういう奴らは大抵、頭でっかち野郎共に出る杭打たれるんだよ。どっちが出る杭だって話だ」
「ミカドさんは少数派なんですね」
「そうだな、いろんな本読んでるうちにそうなったっていうか。でも、俺も見てみぬふりしてるからそこらのやつらと変わらないけど。ま、この国の人は自分と関わりでもしない限り自分の庭で人が死んでもそれを横目に近所の人とおしゃべりを続ける神経の奴等ばっかりだからな」
「家畜扱いされるのも仕方ないですね」
「はは、それもそう―――っ」
私は倒れる。
頭が痛い。腹が痛い。胸が痛い。目が痛い。順を通って痛みが繁殖していくかのように全身へ往き渡る。
「……ぁ……うぁ……が……っ」
激痛のあまり声さえ出ない。息もままならない。
「―――ミカドさんっ」
イノは私の傍に駆け寄り、私の身体を仰向けに反した。
「ちょっと堪えてください」
なんて言ったのか聞き取れないまま口を開けられる。すると、イノの左手が強引に入れられるのがわかった。指先が食道にまで達し、更に呼吸ができなくなる上に吐き気も増してきたときだった。
「……っ、〜〜〜っ!」
喉奥から胃へ、小腸へ、臓器へ、血管へ、筋肉へと何かの衝撃が走った。一瞬且つ激痛を越えた衝撃に失神しそうになったが、先程までの痛みはすっかり消えた。
「よし、オッケーっと」
ずぽっと左手を私の口から抜き取る。涎を拭い、顎が外れてないか私はガチガチと顎を動かしたり、歯ぎしりして確認した後、身体を起こす。
「いま……なにした?」
私はまず頭に浮かんだ言葉を出す。
「手を口に入れただけですよー」
だが、具体的に答えることもなく、イノはにひひと呑気に笑う。
詰問したところでこいつが話すのかと考えれば答えは分かりきっていたので次の質問へ移る。
「治ったのか?」
「治ってないです」
きっぱりとイノは言った。よくわからない奴だと私は思った。
「ミカドさんの中から出てこようとした生き物を殺しただけです」
「中の生き物……?」
自分の口から出てきた大量の細かい蟲のことを思い出し、悪寒が走る。
「いろんな種類の生き物がたくさんいたので、結構進行してますね。ミカドさん、トイレ行きましょう」
「は? トイレ? 急になんで?」
「ミカドさんの中に溜まった死骸を取り出すためですよ。その死骸、次生まれた生き物の餌になりますから」
「嘘だろ……」「いやほんとです」
「それに、生まれてくるのは、内部からだけではないですから」
どこか痒くなってます? と訊いてきたイノの言葉に私は嫌な予感を感じながら、さっきから異
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