八章 灰空の下を駆ける
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この俺が警戒の対象外になるのもつまらん話だな」
さっきまで愉快に話していた大国人の手には銃が握られており、その銃口の先は私の友の背中に向けられていた。
目の前にいた2人の友人の胸から弾丸が貫通し、血が噴き出す。その飛沫が顔に付着する。
そして、ふたりは膝を突き、冷たい床に倒れる。
「――――っアマノ! セイマ!」
私は叫んだ。まだ微かに動いている。まだ生きている。
「―――いいから早く逃げろ! 隙を無駄にすんじゃねぇ!」
無口なはずのアマノの口から怒鳴るような叫びが耳に響いた。
「さっさといけぇ! ミカドぉっ!」
セイマは倒れながらも、上体を腕で支え必死に起こし、その眼をぎらつくほど強く、私に訴えかけた。
「……畜生っ」
私は駈け出した。手は不自由でも脚は動かせる。死に物狂いでその場から逃げた。
背後から再び銃声が鳴る。その音は二回鳴った。
「……ごめん……ほんとうにごめん……っ!」
私は会社を出、必死で走った。手錠はいつの間にか外れ、手の自由がきくようになった。
何故手錠が勝手に外れたのかなど考える余地もなく、私はあの教会へと向かった。
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