六章 出会い
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もよくなっていたのかもしれない。
立ち上がり、周りを見渡す。両サイドにあった教会の大きな窓はこの教会の庭を映していた。
(教会にも庭園みたいのあったんだな……)
右側の窓には緑の丘に白い花の数々。そして丘の上には大きな樹が一本立ち聳えていた。
(ずいぶん立派な樹だな……)
私は窓へ寄り、その美しく鮮やかに光を照らす樹を見つめる。
「……?」
だが、私は樹の傍に何かいることに気が付く。
「なんだろう……?」
ここからではわからない。私は教会を出る。
雨が上がり、日が射してくる。朝日でもそれは温かく、眩しかった。
教会の傍にある緑の丘陵は有名な神話の一ページを思い出させる。思ったほど広大ではなかったが、それでも十分に広い丘だった。私は丘を登る。
丘に咲く数多の白い花が風で舞い上がる。晴れた空に照らされるそれはこの不安定な心に癒しを与えてくれた。
丘の上に聳える緑の繁る大きな樹を見る。結構な大きさだった。巨木ではないが、何か神々しさがあった。
(……誰だ……?)
その樹の傍にいたのは、人間だった。
機に背もたれて寝ているその人間を私は最初、老人かと思っていたが、その人の傍に行くと、それは大きな見間違いで、老人どころか、私より若そうな可愛らしくも逞しそうな顔つきをした白髪の子供だった。肌は白く、歳は17から19ぐらいだろうと思われるが、その寝顔はとても愛らしかった。それ故なのか性別はどちらか見当がつかなかった。
服装は立派とは言えないが、何かの団服のような、コートのような素材だとみられる。何より、その真っ白な髪の毛と裏腹に真っ黒な服を着ていたのだ。
(ここらでは見ないよね……そもそも髪が白いってのが……)
私はしゃがみ、顔を良く窺う。すると、タイミングよく、その人間は目をゆっくりと開けた。
「うわっ」
驚いたのはその人間でなく私だった。いきなり目を覚ましたのもそうだが、
(目がすごく……赤い)
瞳が燃えるように、血の様に真っ赤だったのだ。
瞳が赤い人間など見たことがない。病気でそうなると聞いたことがあるが、生まれつきともいえる程鮮やかな色をしていた。
そういえば本で読んだことがあった。「紅い眼」は確か……
「あの」
紅い眼の人間は立っている私をその眼で見つめながら話しかけてきた。
それは少年とも少女とも見分けがつかない。だけどとても凛々しく、美しい声だった。
「は、はい……」
何故か私は敬語で返事をする。緊張でもしてるのか。
「……あなたは誰ですか?」
「……」
それはこっちの台詞です。
だが、それを言っても何も始まらない。ここは素直に名乗るしかないか。
「私はミカドといいます。それであなたは……」
「ミカドかー、いい名前ですねー」
その人は楽し
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