五章 突飛な夜
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に。
「はぁ……はぁ……げぼっ、かは……うぐぇ……っ」
何か小石程の異物のような塊が喉から湧き上がり、それをぺっと吐き出した。
赤褐色の細く丸い臓器のようなものだった。今日は肉を食ったからかと原因付けたが、そんな思考もあっさりと崩される。
――動いた。
中にいる何かが孵化しようともがくようにその赤い塊は自らの意志で動き続けた。
「――っ! うぁああぁああぁああぁあああぁああ」
うがい用コップでそれを叩き潰す。あまりにも強く叩いたため、コップが割れ、塊はあっさりと中身の液体を撒き散らしながら潰れる。流れ続ける水がそれを流す。
「くそぉ! なんなんだよ! なんでこんな……っ!」
『――細胞は全く別の生命体になり、オカルトにいえば君は理性を失い、生きているだけの化物になる――』
医者の言葉を鮮明に思い出す。混乱しながらも冷静に原因をつきとめる。
(……まさか、今の虫みたいなのも全部……俺の細胞が変異したやつなのか……?)
理解した瞬間、再び吐き気が襲う。そして盛大に吐く。
全細胞がこの蟲みたいに変異しているのだとしたら。そう思うほど自分の身体がむず痒くなる。今すぐこの身体をぶち壊したくなる。気持ちが悪くて仕方がない。
「――ゃだ……ぃやだいやだいやだいやだぁあああああああああああああああああ」
精神の狂った私は、その夜のことを覚えていない。
ただ気が付いたときには家の中がめちゃくちゃになっていて、何故だかあちこちに赤い跡のようなものが模様のように彩られていて、自分の腕が傷だらけになっていて、身体の所々の皮がボロボロに爛れて赤い筋肉が露出していた。
そして、隣に住んでいる男の人が目の前で真っ赤になって倒れていた。
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