残るは消えない傷と
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嗟の瞳。
聞こえたのは、愛する妹が哀しみを空に訴える泣き声だった。
袁家は河北へと逃げ去る事となった。
徐州は曹操が掌握し、孫策は逃げた袁術の代わりに揚州を手中に収めた。
ただ、歓喜に溢れているはずの孫呉重鎮たちの表情は、仕事以外では暗く重い。
助け出した一人の姫は、日輪のように明るい少女であったはずが部屋に籠ってしまった。此処では誰も友達を助けてくれないと周りを怨み、されども、家族であるから、迷惑を掛けたからと逃げ出す事もせず、人形のように毎日を過ごすようになった。いつか来る、大切な友の死亡報告に怯えながら。
孫呉の若き王の後継者は、取りつかれたように仕事をし始める。まるで……そうしなければ壊れてしまうかに見えた。
為政者の塗り替えによって虎は前以上に忙しく、二人とゆっくりした時間を過ごす事も出来ない。
三人が揃ったというのに、前異常に離れてしまった様を見て、美周嬢は心悩ませる。
徐々に蓄積されていく負担は、彼女の気付かぬ内に、ゆっくりとその身を蝕もうと脈動を始めた。
大きな傷と不安を残し、孫呉は己が大地を取り戻した。
されども乱世はまだまだ続く。
数多の怨嗟を受けて尚、生き残る事が出来るのはどの王であるのか。
それぞれの地に暮らす人々はただ願う。我らが主が平穏な世界を作り出さんことを。
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