第十四話 幻の力その五
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「それだよ」
「じゃあ菫ちゃんも」
「そう、彼女もね」
まさしく、というのだ。
「力の持ち主だよ」
「北斗七星の」
「そう、間違いなくね」
「そうなんですね」
「これで六人目だね」
間違いなく、というのだ。
「あの娘で」
「あと二人ですね」
「そうだよ、これでね」
「ええと、今六人ですけれど」
「あとの星はね」
その星は何かということもだ、智和は裕香に話した。
「ミザールとね」
「その星とですね」
「その双子星アルコルだよ」
「あの北斗七星の二番目の星ですね」
柄杓の柄の先の方から数えてだ、北斗七星はその形から柄杓と呼ばれることもあるのだ。
「あの二つある」
「そう、それだよ」
「その星の娘だけですね」
「二人ね」
「何かここまで凄く順調に集まってますけれど」
「女の子は集まっているね」
このことはとだ、智和も認める。
だが決して明るくない顔でだ、智和は裕香にこうも言った。
「けれどね」
「他のことはですね」
「そう、何もわかっていないからね」
「どうして皆に力があるのか、それで怪人のことも」
「まだ何もね」
わかっていないというのだ。
「わかっていないから」
「だからですね」
「そう、楽観は出来ないよ」
「そうなりますね」
「うん、けれど何はともあれ」
「はい、菫ちゃんも力の持ち主でしたね」
そのことはわかったとだ、裕香も言うのだった。
「そのことだけはですね」
「よかったね」
「はい、何はともあれ」
こうした話をだ、菫も怪人を倒してその背中に符号を出したことを確認して言ったのだった。そしてだった。
敗れた怪人はその身体を灰にしようとしている、しかしだった。
その彼はだ、己を倒した菫にこう言うのだった。
「今も蹴りもか」
「ええ、鎌ィ足よ」
「紫だったな」
怪人はその色も指摘した。
「貴様の色か」
「鎌ィ足だけれど」
「鎌ィ足は本来色はない」
怪人はこのことも言った。
「けれど私は違うのね」
「その様だな、貴様の色は紫か」
「そうみたいね、どうやら」
「幻を使う紫の女か」
菫をこう呼ぶのだった。
「このことを覚えて去ろう」
「ではね」
菫も怪人に見送りの言葉を贈った、その言葉を贈るとだった。
怪人は完全に灰になり風と共に消え去った、後には何も残っていなかった。
闘いは終わった、菫は薙刀を収めそのうえで傍らで待っていた向日葵に顔を向けてそのうえで彼女に言った。
「私もね」
「うん、力の持ち主ね」
「さっきの符号は」
紫色のそれのこともだ、菫は言った。
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