第十四話 幻の力その三
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「ここは」
「じゃんけんか」
「ええ、今決めようかしら」
「そうしようか、いや」
菖蒲の提案に乗ろうとしたその時だった、菫の闘いを見ていると。
不意にだ、菫の薙刀を構えているその身体がだ。
まずは二つになった、そして三つに。四つから遂には五つになった。
そしてだ、その五身で怪人に対峙する、怪人はその菫を見て今から突進しようとするのを止めて身構えつつ言った。
「力か」
「こうしようと今思ったわ」
「分身、違うな」
「幻よ」
彼女のその力を使ったとだ、自分から言った菫だった。
「正確には違うわ」
「そうか、力か」
「こうした使い方をするものなのね」
ここで自分の力のことを感じた菫だった。
「闘いにおいて」
「菫さん、相手見せたい幻を考えるといいわ」
ここで菖蒲が菫に助言した。
「貴女の力はそうした使い方をするものよ」
「相手になのね」
「そう、見せたい幻をね」
「それが私の力なのね」
「そうよ、思うのよ」
そうすればいいというのだ。
「ここは」
「わかったわ、それじゃあ」
菫は菖蒲のアドバイスに頷いた、そしてだった。
彼女の言葉通りに想像した、すると。
怪人の周りに霧が出た、その霧は菫の身体を消して完全に見えなくした。それどころか一寸先まで見えない程だった。
視界が見えなくなりだ、怪人は馬のその目で周囲を見回しながら言った。
「成程な、見えなくてはな」
「突撃は出来ないわね」
「突撃は相手の場所がわかってこそだ」
出来るものだというのだ。
「これではな」
「そうね、考えたけれど」
「霧にしたのか」
「霧だけじゃないわ」
出す幻、それはというのだ。
「まだあるわ」
「それは何だ」
「こうしたものよ」
こう言うとだ、その霧の中にだ。
影が出た、シルエットは菫のものだ。しかもその霧の中の影は。
一つだけではない、二つ三つと出て来てだ。
十はあった、その十の影達は怪人を様々な間合いと方位から怪人を囲んでいた。
それを見てだ、怪人はその声に狼狽の色を出して言った。
「そう来るか」
「どうかしら、これは」
「くっ、これではな」
「攻撃出来ないわね」
「辛いな」
それはというのだ、怪人も。
「これでは」
「では行くわ」
こう言ってだ、菫は攻撃に転じた。まずは。
何かが怪人を胸を斬った、だが見えない。そして近寄られた気配はなかった。では何が彼を斬ったかというと。
「鎌ィ足か」
「使えたわね、私にも」
霧の中でだ、菫の声が笑っていた。
「鎌ィ足」
「その技を使ったのか」
「さっき皆のお話を聞いてね」
そしてだったというのだ。
「使ってみたけれど」
「それをか」
「私の力は相手を攻撃するものでjはな
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