第十一幕その九
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「僕もずっと弟と一緒だからね」
「あっ、そういえばモジャボロさんって」
「そうよね」
五人はここで思い出しました、モジャボロの家族のことを。
「弟さんがおられて」
「ノーム王に捕まっていて」
「それで今はね」
「助け出されてもらってね」
「一緒に住んでるのよね」
「そうだったね」
「うん、そうだよ」
モジャボロは五人ににこにことしてお話します。
「僕達もずっと一緒だよ」
「弟さんとですね」
「永遠に」
「オズの国で死ぬことはないから」
老いることもありません、ドロシー達はほんの少しだけ自分から年齢をあげていますが。
「僕達もなんだ」
「ずっとですね」
「弟さんとお二人で、ですね」
「オズの国におられるんですね」
「この国は特別だから」
まさにお伽の国です、オズの国は。
「そうなんだ」
「まさに不老不死ですね」
「そうした国ですね」
「しかもかかしさんと木樵さんに至っては」
「それこそ食べる必要も飲む必要もないですよね」
「どちらも」
五人は今度はかかしと木樵に顔を向けました。
「だから何もしなくてもですね」
「不老不死ですね」
「僕は火が怖いけれどね」
「僕も壊される危険があるよ」
かかしと木樵もそれぞれ怖いものがあります、ですがそれでもです。
「けれど何も食べなくてもね」
「飲まなくてもね」
「全く平気だよ」
「寝る必要もないよ」
「ううん、何度お聞きしても凄いですね」
しみじみとした口調で、でした。恵梨香は二人の言葉を聞いてそのうえでしみじみとしてこう言うのでした。
「かなり楽ですよね、それだと」
「そうかな、ただね」
「楽しみはその分ないかな」
二人は恵梨香にここでこうしたことも言いました。
「飲んだり食べたりしてね」
「味わう楽しみはないね」
「寝る喜びも」
「寝ている間に夢を見ることもないよ」
「何しろ僕達はそうする必要が一切ないから」
「全く縁がないからね」
だからです、そうしたことについての楽しみも知らないというのです。
「そのことはね」
「ちょっと寂しいかな」
「あっ、それって」
二人の今の言葉を聞いてでした、恵梨香はといいますと。
はっと気付いた顔になってです、こう言ったのでした。
「かなり寂しいんじゃ」
「夢って楽しいわよね」
ドロシーも恵梨香に言ってきます。
「寝ること自体がとても気持ちいいから」
「そうですよね、けれどかかしさんも木樵さんも」
「そうすることがないからね」
そもそもです。
「だからそうした気持ちよさも楽しみもね」
「知らないんですね」
「それってね」
「そうですよね、寂しいですよね」
「そうかも知れないわね」
「とはいっても知らないからね」
「最初からね」
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