第十一幕その八
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「ううん、トトもね」
「僕も?」
「ええ、よく喋る様になったわね」
「ずっと喋らなかったからね、僕は」
「けれどオズの国にいたらね」
「動物でもね」
「普通に喋ることが出来るから」
どんな動物でもです、普通に喋ることが出来ます。
ですがトトだけはです、ずっと喋らなかったのです。ドロシーもある日このことに気付いてトトに尋ねたのです。
「貴方だけ喋ることが出来なかったから」
「実は喋ることが出来たんだけれどね」
「あえてだったわね」
「何かね。僕が急に食べるとね」
その時のことを考えてなのでした。
「ドロシーがびっくりするって思って」
「それでなのね」
「そうだったんだ」
だからだったのです、トトはそう考えて喋らなかったのです。
「ずっとね」
「けれど実はだったのよね」
「うん、最初の冒険の時からね」
今も一緒にいるかかしや木樵とはじめて出会ったあの旅の時からでした。
「僕は喋れたよ」
「ずっとね」
「そう、今みたいにね」
「そのことに気付いて」
ドロシーもです。
「最初はどうしてトトだけと思って」
「真実がわかってだよね」
「やっぱりって思ったわ」
トトも喋ることがわかってだったのです。
「そういうことねって」
「それで今はこうしてね」
「お話してるわね」
「普通にね」
「それにしてもだよ」
ここで言ってきたのはかかしでした。
「僕達もトトとは長い付き合いだね」
「そうだよね、本当に」
「ドロシーと同じだけ大切な友達だよ」
「僕もそう思ってるよ」
「トトを見ているとね」
かかしはにこりとして言うのでした。
「気持ちが和らぐよ」
「そうそう、犬や猫を見ているとね」
木樵も言ってきましった。
「自然とそうなるね」
「不思議なことにね」
「犬や猫は見ているだけでそうさせてくれるよ」
心を和やかにさせてくれるというのです。
「有り難い生きものだよ」
「トトは私の子供の頃からの友達よ」
ドロシーにとってはまさにそうです、それこそまだカンサスにヘンリーおじさん達と一緒にいた時からのとても古い。
「もう凄く長い付き合いよ」
「そうだね、僕達と会う前からのね」
「ドロシーの最初のお友達だったね」
「今も続いているね」
そこまでの古いお友達です。
「そうした友達だから」
「僕にとってもそうだよ」
「トトにとって私はなのね」
「最初のね。そして一番古い」
「友達なのね」
「僕ドロシーと一緒にいない生活なんて考えられないよ」
「私もよ」
お互いに、です。このことは。
「考えられないわ」
「本当にそうだね」
「オズの国にいると私もトトも死ぬこともないから」
それこそだというのです。
「ずっとね」
「これからも一緒だ
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