第四章 誓約の水精霊
第一話 プレイボーイ
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シエスタの頭に置いたてとは逆の手の指で、士郎が頬を掻く。あの時駆け寄ってきたシエスタは、駆け寄って来る勢いそのままに飛びつくと、そのまま士郎の頬にキスをしたのだ。
その後森から出て来た村人達の幾人かは、士郎がゼロ戦で竜騎兵達を叩き落すところを見ていたことから、ルイズと士郎はアルビオン軍を倒した英雄と村人たちに崇められた。三日三晩続いた村の祝宴では、士郎達はまるで王侯貴族のような扱いを受けた。また、ゼロ戦が空を飛んだことから、シエスタのひいおじいちゃんの名誉も回復した。
祝宴の間、シエスタは士郎の傍から離れることはなく、甲斐甲斐しく士郎のお世話をした。給仕の際は今みたく軽く体をすり寄せながら……。
士郎は苦笑しながら気持ちよさそうに目を細めてるシエスタを見下ろすと、何気なく首に巻いたマフラーの余りを手に取ると、微かな疑問が浮かんだ。
「ん? シエスタ、このマフラー随分と長いが?」
「んんぅ。ん? あっ、んふふ……それはですね。こうするんです」
シエスタは口元に手を当てると、ムフフと笑いながらマフラーの端を掴むと、自分の首にいそいそと巻き始めた。そうすると、マフラーはちょうど良い長さになった。
「もしやこれは、二人用なのか?」
「んふふ。そうですよ……その、イヤ……でしたか?」
やはりこの晴天の下マフラーを巻くのは暑いのか、シエスタの滑らかな白い頬に汗が滲んでいる。微かに汗が浮かび上がらせながら、無邪気な子犬の様な瞳で見上げてくるシエスタは、素朴な魅力と色気を漂わせている。
二人用のマフラーか……そう言えば以前、桜から貰ったマフラーには、模様かとおもったら呪文が縫い込まれていて。知らずに巻いていたら……あ〜……思い出したくないな……
それに比べ(比べるまでもないが)シエスタの何と優しいことか。シエスタの頭を撫でる士郎の手が、ますます優しく丁寧になっていくと。
「シエスタ?」
士郎が訝しげな声を上げる。シエスタは自身の頭を撫でる士郎の手を自分の手でそっと片手で止めると、唇を軽く突き出し微かに顔を上げてくる。
空いていたもう一本の士郎の腕がシエスタの肩に置くと、士郎はごく自然にシエスタをベンチに押したお――
士郎の頬に汗が一雫流れ落ちる。知らずシエスタの体をベンチに押し倒そうとしている自分自身にギリギリで気付いた士郎の頭の中では、祝宴でのシエスタの父の言葉が過ぎっていた。
彼はシエスタが席を外した隙を突き、士郎の元までやって来た。そして、アルビオンの竜騎士を倒した士郎の労を労い、村の英雄だと褒め称えた。だが、にこやかに笑っていたシエスタの父の顔が、急に恐ろしい顔を士郎に向けた。
「あなたは村を救った英雄で、アルビオンからトリステインを守った類まれなる勇者です。わたしは
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