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剣の丘に花は咲く 
第四章 誓約の水精霊
第一話 プレイボーイ
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た“竜”というものが、タルブの村に伝わる“竜の羽衣”と呼ばれるマジックアイテムであったという。さらに衛士が調べを進めると、どうやらその件の“竜の羽衣”とやらはマジックアイテムではなく、未知の飛行機械であることが判明したのだ。
 
 随分と、とんでもないことが書かれていたが、だが、アンリエッタにとってはこの先のことが重要であった。
 未知の飛行機械を操っていたのが、アンリエッタと旧知の間柄であるラ・ヴァリエール嬢の使い魔であるということである。
 報告書の後ろには、あの敵艦隊吹き飛ばした光りとの関連が示唆されていた。それは当たり前と言うものだ。あの光は、その飛行機械が飛んでいた辺りで発生したのだから。これを作成した衛士も、今の自分と同じことを考えたのだろう。衛士は大胆な仮説を立てていた。
 報告書の最後には、ラ・ヴァリエール嬢か、またはその使い魔の男が、あの光を発生させたのでは?
と書かれていた。
 一衛士の領分を超えることから、衛士は直接の接触を躊躇い。報告書の最後は、アンリエッタの裁可をを待つことで締めくくられていた。
 自分に勝利をもたらした光。
 太陽の如き光で、艦隊を壊滅させた光。
 何故かあの光を思い出すと、胸が熱くなる。

「ルイズ……あなたなの?」

 小さく呟いた言葉は、誰に聞かれることもなかった。






 朝食の際、タルブでの王軍の勝利を祝辞が学院長のオスマン氏の口から出た以外は、特にいつもと変わったことは無く。魔法学院では、戦勝で沸く城下町とは違い、いつもと変わらぬ日常が続いていた。
 これは一応、魔法学院は学び舎であるため、政治とは無縁であるといったこともあるが。それ以外にも、いつもどこかで小競り合いが行われているハルケギニアの貴族にとっては、戦争は身近なものであり、特に騒ぎ立てるものではないということもあった。そのため、戦争が始まった最初のうちは騒ぎもしたが、戦況が落ち着き出せば同じく落ち着き出すのである。
 しかし、緩やかな空気が流れる魔法学院の中。人気の少ないヴェストリの広場では、とある戦いがまだまだ火花を散らしながら、燃え上がっていた。






 太陽の香りが薫るベンチに腰かけ、士郎は手に持った包を開く。中身を確認した士郎は、隣に座るシエスタに微笑みかける。

「ありがとうシエスタ。これは暖かそうだな」

 頬を赤く染め、士郎に笑顔を返すシエスタ。

「そ、その。あのひこうき? でしたか? あれに乗る時、寒そうでしたので」



 何故士郎がこんなところにいるのかというと、今日の午後三時頃、シエスタから渡したいものがあると、このヴェストリの広場まで士郎を呼び出したのである。
 士郎が渡されたのは、真っ白なマフラーであった。シエスタの柔らか
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