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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―絶望の手がかり―
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 竜騎士を破った俺たちを迎えたヒロイックの戦士たちは、地下に作られたその秘密基地のような場所に案内してきた。リリィが操縦していた《漆黒の闘竜》が、ヒロイックの戦士たちに先導されて地下へと潜っていく。いかにもといった様子の地下の秘密基地を見渡しながら、俺はリリィと共にヒロイックの戦士たちと対面した。

「ありがとう……ございます」

「うむ、良く無事に帰って来た……」

 やはりこの戦士たちの仲間だったらしいリリィが、ヒロイックの戦士たちのリーダーのような立場の人間と話していた。救世主などいった不適切な言葉も聞こえたものの、どうやら俺たちの道程のことを話しているらしい。そしてその話が一段落すると、リリィと話をしていたヒロイックのリーダーが俺の方へと歩いてきた。

「遊矢くん。まずはリリィをここまで連れてきてありがとう。私はこの反乱軍のリーダー、スパルタス」

 大きな赤い盾と剣を背中に背負ったスパルタスと名乗った戦士が、俺に対してリリィへの礼とともに握手を申し込んでくる。戦士たちのリーダーらしくない気さくな性格らしく、その手も握手を返しただけで鍛えられていると分かる。

「そして私の部下。ハルベルト、サウザント・ブレード、カンテラ――」

 ……嬉々としてスパルタスは、背後にいる部下たちを順々に紹介していくが、部下たちは一様に面白くなさそうな表情を俺に向けていた。……それも当然だ、いきなり現れた人間が、救世主が云々などと紹介されれば。スパルタスはそんな部下の様子に気づかずに、俺の肩をポンポンと叩きながら、この反乱軍へ歓迎するようなポーズを取る。

「ようこそ、我が覇王への反乱軍へ! 疲れていることだろう、ハルベルト、部屋に案内してやってくれ!」

 沈黙を保ったままの俺を緊張しているとでも思ったのか、スパルタスは大げさに声を張り上げながら、部下のハルベルトへと何やら命じていた。そしてもう一度俺の方に向くと、しっかりと肩を掴んでニッコリと笑った。

「その部屋にはカードが用意してある。存分に使って、デッキを強化してくれたまえ!」

 ハッハッハ……とその場に笑いを残して、スパルタスは他の部下やリリィを引き連れて通路を歩いていく。そこに残されたのは俺と、案内を任されていたハルベルトと呼ばれた戦士たちだった。

「……こっちだ」

 ハルベルトは口数少なく俺を促すと、スパルタスたちが向かって行った廊下とは、また違った方向へと歩き始めていく。地下の暗い道を進んで行く中で、ハルベルトは俺に語りかけた。

「分かっちゃいると思うが、あんたは歓迎なんぞされちゃいない。せいぜい、戦力が一人増えたかもしんねぇ……ってぐらいだ」

「分かってるさ。むしろ、救世主だとか言う方がどうかしてる」

 偶然、異世界から現れた
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