―絶望の手がかり―
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、攻撃力が2700の《サイバー・エンジェル−荼吉尼−》のみであり、そのライフポイントは僅か400ポイント。ちょうど《パワー・ツール・ドラゴン》の一撃で、カンテラのライフポイントは消える。……ライフポイントだけでなく、その存在すらも。
「話してもらおうか……明日香のことを……!」
俺のその問いとともに、《パワー・ツール・ドラゴン》が《サイバー・エンジェル−荼吉尼−》に向かっていく。後はその腕を振り下ろすだけで、最強のサイバー・エンジェルごとカンテラの命は尽きる。
「さあ、話せ! 死にたくなければ!」
「ヒィッ……」
カンテラは悲鳴をあげながら、フィールドに展開している祝福の協会の壁際まで下がっていき、そのまま尻餅をついてしまう。俺の殺気を孕んだ脅しに対して、そのままコクコクとカンテラは頷いた。
「まずは、そのデッキをどこで手に入れた……?」
「ひ、拾ったんだよ……止めろぉ!」
明らかな嘘をつくカンテラに対して、俺は《パワー・ツール・ドラゴン》の腕を少しだけ《サイバー・エンジェル−荼吉尼−》に振り下ろした。カンテラからすぐさま制止する声が出され、《パワー・ツール・ドラゴン》はその動きを止める。前の持ち主の名前と好きなモンスターまで把握しているにもかかわらず、何も知らずにただ拾ったという訳がない。
「拾ったってのは本当だ……明日香とかいう奴と誰かがデュエルしてた後に、そう、拾ったんだよ! ……ヒッ!」
「……あ?」
カンテラがそう答えるとともに、もう一度《パワー・ツール・ドラゴン》がその一撃を振り下ろそうとする。そのカンテラの口振りでは、明日香が誰かとデュエルして敗北し、そのデッキをカンテラが受け継いだように聞こえた……そしてこの世界で敗北したということは、即ち明日香は……?
「嘘をつくなよ……つくなぁッ!」
近くにあった祝福の協会の机に、思いっきり腕を叩きつける。俺のその動きに連動するように、パワー・ツール・ドラゴンが動き始めた。
「嘘じゃねぇよぉ! だ、だから止めてくれ……!」
もはやカンテラの言う言葉など聞こえない。《サイバー・エンジェル−荼吉尼−》に対して、《パワー・ツール・ドラゴン》の一撃が躊躇いなく喰らわせる――ところで、俺のリリィから借りたデュエルディスクから、警告を知らせる音声が鳴り響いた。
「なに……?」
デュエルディスクが示していたのは、今の俺のフェイズ。《パワー・ツール・ドラゴン》が攻撃しようとしていたバトルフェイズではなく、全てのターンの終わりとなっているエンドフェイズとなっていた。当然エンドフェイズに攻撃出来るはずもなく、《パワー・ツール・ドラゴン》は《サイバー・エンジェル−荼吉尼−》への攻撃を中断し、俺の元へと帰還した。
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