―絶望の手がかり―
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人間が救世主となる――そんなヒロイック・ストーリーはどこにでもあるし、そんな話を信じなくてはならないほど、この異世界の住人は切羽詰まっている。……この異世界に無理やり飛ばされてきた当人である俺からすれば、そんな話は正直、迷惑なだけでしかない。もちろん、命を二度も救ってくれたリリィには感謝しているし、明日香を見つける為にはここに身を寄せるほか無い。
「だろうなぁ。だがまあここに来たからには、せいぜい協力してもらうぜ」
「ああ、最初からそのつもりだ」
俺のその返答に満足する答えを得たたのか、ハルベルトは先程よりかは和らいだ口調で同情の意を示した。この反乱軍たちが俺を救世主として利用するならば、俺は明日香を見つける為にこの反乱軍を利用させてもらう。険悪とは言わないまでも、ピリピリとした空気が通路を包んでいたが、あまり時間が経たない内に辿り着いたドアの前でハルベルトは立ち止まった。
「この部屋だ。さっきリーダーが言った通り、ここで保管してあるカードを使いながら、しばらく休んでてくれ」
そう案内するだけ案内すると、ハルベルトは仕事は果たしたとばかりに通路を逆走していく。その後ろ姿を見てしばし、ひとまず案内された部屋へ入るべく目の前のドアを開けた。
「…………」
地下に無理やり作った部屋ということか、部屋から俺を歓迎したのはまず砂埃だった。その埃に顔をしかめた先にあったものは、1ヶ月間ほど掃除していないかのような、砂埃に埋もれた部屋とカードたちだった。
「これは……酷いな」
百歩譲っても、客人を案内する部屋ではない。近くにある砂埃に埋もれたカードを抜き取ると……いや、抜き取ろうとしたカードは少し重く、十枚ほどの束であった。さてどのようなカードなのか、と思ってチェックしようとすると、ドアからノックする音が響いた。
ハルベルトが戻って来たかスパルタスあたりが呼びに来たか、と拾ったカードをポケットに仕舞っておくと、ノックされたドアの方に近づいた。
「は――――ッ!?」
――ドアを開けた俺の前に飛び込んで来た物は、銀色に鈍く輝く刃。銀色の光が迫り来るのを見て、俺は反射的に腕に装着されているデュエルディスクを突き出し、銀色の刃とデュエルディスクが金属音とともにぶつかり合った。
「……チッ!?」
銀色の剣を持って切りかかってきた闖入者は、舌打ちをしながら事態を飲み込めていない俺に対し、そのまま腹に蹴りを叩き込んだ。肺から空気が全て吐き出されるような感触を味わいながら、俺は悲鳴をあげる間もなく、砂埃だらけのカードの束に向かって吹き飛ばされた。
「……っつぅ……!」
砂埃とカードの束を空中に巻き上げながら、俺はゴロゴロと回りながらドアから現れたモノを見た。ソレは入ってきたドア
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