第2話 また、会いにくるよ
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いて朝食をとっていた。
結弦はそれに何も言わず、席につく。
手を合わせて「いただきます」と言おうとしたところで、岬が声をかけた。
「結弦、束はまだ寝てるの?寝てるのだったら起こして来て欲しいんだけど」
結弦は合わせていた手を元に戻し、岬を見た。
灰色の人。
いつもと変わらない人間の色。
やっぱり、束と同じように色づいて見えることはないか。
結弦はほんの少し落胆する。
束の親ならばもしかしてと思っていたがやはりそうそう色づいている人はいないらしい。
父親の柳韻を見ても灰色だった。
あまり期待もせず箒の方に目を向けると、少しだけ見開いた。
束ほどではないにしろ薄っすらと色づいていたのだ。
結弦はそれに笑みを浮かべる。
目覚めたときは何も変わらないと思っていたというのに、もう自分の求めていた色づいた人がふたりも見つかったのだ。
これからの生活は前世とは違う、楽しいといわれる生活になるかもしれない。
そう思うと心が少し動いた気がした。
岬は結弦の笑みを見て固まっていた。
はじめて見せた結弦の笑み。
岬はいままで結弦が表情を帰るのを見たことがなかった。
生まれて来たときも眠っているような無表情で声も上げず生まれ、いままでもその表情を変えなかった人形のような息子。
「姉なら起きている。時期にくるだろう」
結弦の声に柳韻と箒も驚愕の表情で結弦を見る。
結弦が喋った。
ただそれだけのことなのに皆が驚愕する。
だか、それも仕方が無いことだ。
岬も柳韻も結弦の声を聞いたのは片手で数える程度だ。
まして言葉を発したのは初めてのことだ。
そして親がその状態なのに箒がそれよりも聞いているはずがない。
箒は4歳だ。
結弦の声をはじめて聞いたと感じてもおかしくない。
「結弦が喋った!母さん、父さん、結弦が喋ったぞ!」
箒は驚きから解けると大きな声をあげて言った。
「あ、あぁそうだな」
「え、えぇそうね」
ふたりはそう答えるしかなかった。
そのあと慌ててふたりは結弦について話し合う。
箒はその間に次々と言葉をぶつける。
「どうして突然喋り出したんだ!?いや、それよりなぜいままで喋らなかった?私のこと、お姉ちゃんと呼んでみてくれ!そうだ、今日は結弦の誕生日だ。私と遊ぼう!」
「姉のことを聞かれたから声に出しただけだ。なぜ話さなかったのかはきっと意味があったんだろう。ふむ、そうだな。流石にお姉ちゃんとは呼べん。小さき姉と呼ぼう。一緒に遊ぶのは構わない」
「私はお姉ちゃんと呼んでほしい」
「僕には無理だ。でも小さき姉が大きくなったら呼び方は変わるかもしれ
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