プロローグ
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かべ、結弦にそう言った。
案の定先ほどは無視していた結弦は女神を見た。
そして、ここに来て始めて口を開いた。
「転生とは、なんだ?」
女神を見つめて問うた。
だが、女神には聞こえていない。
結弦の声が美しかったから。
聞いていて心が安らいだから。
美の女神である女神も思わず嫉妬してしまう。
すべての美を兼ね備えた目の前の青年に。
「聞いているか、女?」
結弦は何の反応もしない女神に再び声を発する。
「え?……あ!すみません。えっと、なんでしょう?」
女神は結弦の声を聞いてようやく戻ってくる。
「転生とはなんだ、と聞いたんだ」
「ああ、転生ですね。転生とは──」
転生とはわかりやすく言えば生まれ変わること。
死んだ人間に新たな生を与え、再びどこかの世界で生きるということ。
記憶を失い、魂を浄化された真っ白な状態で生まれ変わること。
だが、今回女神が提案するのは、そんなものではない。
そもそも記憶を消して魂を浄化してリセットしてしまっては意味がないのだ。
女神が興味を持ったこの『結弦』が消えてしまっては。
だから、別の、もうひとつの転生を伝える。
記憶を持ったまま。
魂を浄化しないまま。
新たな生を授ける転生を。
「──なるほど。理解した。それで、その世界は色があるか?」
女神は最初のその意味がわからなかった?
何を言ってるの?
世界に色があるのは当たり前じゃない。
「その世界には白と黒以外の色はあるのか?」
結弦は問う。
世界に色はあるのかを。
女神はクスッと笑い、言った。
「ありますよ」
そっか、この子はまだ世界を知らない幼子なんだ。
だったら、教えてあげよう。
世界の美しさを。
「あなたの見たことのない色が」
──いますよ。あなたと同じように世界をたったひとりで生きている人が。
あなたと同じように世界に色を求めている人が。
結弦はその無表情をわずかに変化させて、
「じゃあ、いくよ。僕に、世界を、色を見せてくれ」
笑顔を見せた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
女神は結弦に転生後のことを伝え、転生させた。
きっと今頃は母の胸の中で眠っているだろう。
彼が記憶を取り戻すのは3年後。
それまではどこにでもいるような子どもでいてもらおう。
赤ちゃんで記憶があると大変だろうから。
でも。
きっと、まともな子どもではないだろう。
『彼女』のように『化け物』と呼ばれてしまうかもしれない。
でも、彼に記憶が戻ったなら。
彼と『
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