暁 〜小説投稿サイト〜
その魂に祝福を
魔石の時代
第一章
始まりの夜3
[7/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
であるなら、その逆もまた然りである。もっとも、今となってはそれさえもどうでもいい事だが。
(まぁ、目的を達成するのに手段は選べないか)
 なのはに魔法の才能がある事はかなり前から気付いていた。だからこそ、同業者の接近には細心の注意を払っていたつもりだった。さらに、俺自身も御神美沙斗の相棒として、彼女の仇に目をつけられている。この街を包んでいる異境は二つに意味でなのは達を守るために構築したものである。そのため、魔力以外の反応――例えば、相棒や士郎、恭也や美由紀などのような強い気や生命力――も吸い上げられるようになってた。……のだが、どうやら今回はそれが仇となったらしい。
 異質な気配を満遍なく吸い上げようとすれば、微弱な気配を見落とす。微弱な気配に気づけるほど集中すれば、それ以外の索敵が疎かになる。使いこなすには力を最適な配分に調整してやる必要があった。あの魔導師とジュエルシードはその隙間をすり抜けたらしい。欲をかきすぎた……というより、単純に在りし日のようには行かないという事だが――ともあれ、こうしてむざむざと接近を許してしまった以上、異境の精度を上げる必要がある。これ以上の接近を許す訳にはいかない。
 ……あの子の傍にいられないなら、なおさらだ。
「これで発見できればいいが……」
 ジュエルシードとやらは、通常はかなり安定しているようだ。それはありがたいが、これほど安定しているとその気配を汲み取りづらい。実際、今のところ反応はなかった。
「残りは一九。それが一つも引っ掛からないとはな……」
 幸先は大いに不安だった。だが、これ以上ジュエルシードに力を集中させてしまえば、この異境本来の役目が果たせなくなる。まして、異界の魔導師に目をつけられた今となっては、これまで以上に警戒が必要だった。
「供物を強化するしかないか……」
 それも容易ではない。少なくとも、一日二日でできるような事ではなかった。強引に力を増強させる事が出来ない訳でもないが、それで供物が破損でもしたら、修復にはさらに時間がかかる。当面は、こまめに移動し複数ヵ所で心眼を使うより他にない。
「面倒な事だ……」
 この広い街の中で、ろくな手がかりも無く、小さな宝石を一九個も探し出さなければならない。陰鬱な気分になるのは否めなかった。ため息ともに改めて心眼を開く。もっとも、ものの数分で変化があるとも思えなかったが。
「これは……幸先がいいと言うべきか?」
 ものの数分で、変化は生じたようだ。最初の獲物が、索敵に引っ掛かったらしい。




 僕がご主人様と出会ったのは、冷たい雨の降る日だった。
「可哀そうに……」
 雨の中で凍え、薄れる意識の中。このまま死んでしまうのだろうか。そんな事を思いながら目を閉じる直前、その声を聞いた。抱きあげられた時の暖かさは今も覚
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ