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その魂に祝福を
魔石の時代
第一章
始まりの夜3
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るらしい。自分にも目的はあるが……それでも、今を生きる事に必死な彼らの代わりに、この子のために時間を費やすのは間違っていない。
 そのために少しだけ『彼女』達の事を後回しにしても――それでも、『彼女』達は笑って許してくれるだろう。そう思う。
「光お兄ちゃんも?」
 だが、独りは寂しいだろう――問いかけると、彼女は言った。
 彼女がそう言った理由は分かっていた。士郎と桃子はともかく、他の二人は、自分が御神美沙斗の『息子』だと言うのが引っかかっているらしい。露骨に避けられているのは嫌でも自覚していた。忌避されるのは今さらだという思いはあったが――それでも。
 そうだな。そうかもしれない。頷くと、なのはは少しだけ躊躇ってから、言った。
「じゃあ……一緒にいよう?」
 ああ、そうしよう。頷くと、なのはがこちらに駆け寄ってきた。そのまま抱きついてきた彼女の頭を軽く撫でる。程なくして、彼女は静かに泣き始めた。
「もう、独りは嫌だよ。寂しいよ……」
 ああ、そうだな。独りは寂しいな。彼女を抱きしめながら、呟く。自分も永い時を独りで生きてきた。いや、一人ではない。自分にはリブロムがいた。『彼女』達がいた。右腕には恩師達がいた。だから、自分は永遠の孤独に耐えられた。
 だから、せめて。この娘がひとり立ちするまで……いや、俺が何者かを知るまでは。俺を必要としなくなるその日までは、自分が彼らにしてもらったように、この少女の孤独を慰めよう。この少女と孤独を分け合おう。そう思った。そして――これが、自分達兄妹の始まりの記憶である。




「これからどうすればいいの?」
 これで私にも魔法が使えるようになったはず。そんな事を思いながら、あのフェレットへと振り返る。と、彼はそこで倒れていた。どうやら魘されているらしい。
「もう! みんな、その子をいじめちゃダメ!」
 彼を取り囲むようにしている恭也たちに向かって叫ぶ。
「いや、落ち着け、なのは。俺達は何もしてない」
『そうだぞ、チビ。オレ達はあくまで純然たる事実を告げただけだ』
「も〜! 何でそう言う事ばっかり言うの!? 光お兄ちゃんはそんな事しないよ!」
『いや……。お前、オレの話をちゃんと聞いていたか? 相棒は殺すと言ったら殺すぞ』
「だから、そんな事させないって言ったでしょ!」
 ちゃんと話を聞いていないのはこの本――リブロムの方だと思う。
『……確かに相棒は、魔法使いとしちゃ二流だって散々言われてたけどよ。だからって、魔法使いの覚悟をお前が覆せるとは思えねえけどな』
 覚悟。その言葉は、妙に重く聞こえた。光は一体どれだけの覚悟を背負っているのだろう。分からない。想像もつかない。……だけど、負ける訳にはいかない。
『まぁ、いいだろ。精々頑張りな。ヒャハハハハッ!』
 他人事
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