暁 〜小説投稿サイト〜
とある碧空の暴風族(ストームライダー)
新たなる力へ
Trick67_試験を始めます
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証拠。いわば勝ち組なのだ。

だが逆に言えば、負けに対する耐性が強くは無い。『敵は己の中にあり』と教えられてきた。

今回の試験は≪走る≫による時間測定。対戦相手がいない試験のように思える。
しかし信乃の存在が対戦相手の代わりとなっていた。

冷たくあしらう。機械的な開始合図。どうしても敵対意識をもってしまう。
そんな敵が合否を教えない。不明な存在として感じて、それがプレッシャーに変わっているのだ。

さらに、試験の順番だ。
昨日の時点で、100m走の遅い順に取り行われている。
信乃にはそれを教えていない筈だが、間違いない。
ではどうやって調べたのか? 練習を覗き見ていた? ここ数日の体の動きの変化を読みとった?

不安が不安を呼び、負の連鎖にはまり込んでいた。

「レディー」

コインが弾き飛ばされる。機械的に無感情に。

一瞬、戸惑いがあったものが、婚后はどうにか気持ちを整えてスタートを切った。

≪走る≫は上手く言った。今までで感じた事のない加速力と空気の壁を肌で感じる事が出来た。

「ゴール」

手元のデバイスを操作して入力する信乃。その姿は無機質で無情で機械的だった。

(わたくしは・・・合格できたのでしょうか?)

≪走る≫の時、ゴールの瞬間は今まで感じた事のない快感だった。
それゆえに、不合格でのA・T禁止に感じることが多々あった。

(本来は自分磨きの一環としてA・Tをお願いしましたのに、
 いつの間にか魅せられてしまったのですわね)

自分の持つ執着心を冷静に判断した婚后。

そんな風に考え込んでいる間に、最後の美琴の計測が完了した。


「全員終了、ですね」

手元のデバイスを操作して、深呼吸をする。
全員が息を呑むのが聞こえた。

「じゃ、結果は来年にでも教えます。さようなら」

片目を閉じて、ふざけながら去って行った。

「「「「ちょっとまてーー!」」」」「「「「「「待ってください!!」」」」」」

去って行く事が出来なかった。
黒妻と美琴に至っては物理的に止めに入った。

黒妻が信乃の肩を掴み、その直後に美琴がドロップキックをきめた。


TAG Trick 
   - Backward Cross Ridefall Upper "TWINCAM STRAGHT" -


見事に技がきまった。
打ち合わせは全くなし。偶然だが完璧な技がきまった。

「痛って! なにすんだよ!」

「うるせっ! 今、全員が真面目に話聞いてんだよ!
 なにふざけてんだ! 空気読めよ、空気!!!」

「そうだよ信乃にーちゃん! 片目閉じてるから冗談なのは分かるけど
 冗談が許される状況じゃないよ!!」

「・・
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