騎士と武士
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ムサシが言うが、確かにその通りだ。
ムサシも傷を負ってはいるが、血が流れてしまえば村正に吸収させる。血を吸収すれば村正は強くなる。
一方エルザは村正のような武器はないし、ウェンディやルーの様に回復系の魔法が使える訳でもない。
力を増す事が出来る武器と、力の変わらない武器や鎧・・・勝敗は見えていた。
(奴の言う通りか・・・煉獄の鎧も破損中、“あの鎧”を纏う程の魔力もない・・・)
エルザの持つ鎧の中でも最強クラスの煉獄の鎧。
楽園の塔にて斑鳩に破壊され、未だに修理が終わっていないのだ。
もう1つ、勝てそうな鎧はあるが、それを纏う程の魔力が残っていない。
(ここまでか・・・)
一瞬、敗北を考える。
――――――だが。
(いや・・・諦めるものか・・・)
それは文字通り、一瞬の事。
ぐぐぐ・・・と力を込め、立ち上がる。
その目に闘志を宿して、不屈の精神で。
(皆が戦っている・・・それなのに、私1人が諦めるなど・・・)
光を纏う。
緋色の髪がポニーテールに結わえられ、体に黒い鎧を纏う。
両手で1本の剣を構えるエルザは、鋭くムサシを睨んだ。
「黒羽の鎧・・・一撃の破壊力を増加させる鎧か」
呟いて、村正を構える。
お互いが、お互いを睨む。
ムサシは目隠しをしている為、睨んでいるのか解らないが。
――――――どこかで、小さな音がした。
それを、合図に。
2人は、同時に駆け出した。
「ハアアアアアアアアアアアッ!」
「オオオオオオオオオオオオッ!」
エルザの剣が、動く。
ムサシの刀が、これで終わらせてやると言わんばかりに血を吸収した。
そして―――――――
「黒羽・月煌!」
「一刀・紅雨!」
最後の一撃が、炸裂した。
言葉では表せないような一撃。
2人の立ち位置が入れ替わり、お互いに背を向け合う。
「・・・ぐあっ!」
先に動いたのは、エルザだった。
ブシュッ!とその右腕から血が流れる。
―――――――が、それは動いただけ。
「か、はっ・・・!」
先に倒れたのは―――――ムサシだった。
その手から村正を落とし――――――ドサリと、倒れ込んだ。
「シャロンが、ティアとクロスの親を殺した・・・!?」
エルザとムサシの戦いに決着がついたのと同時刻。
グレイとパラゴーネは長い廊下を走っていた。
こくっと頷いたパラゴーネは続ける。
「あの方はそういう方だ。自分の思い通りにならない者を厭い、係累であろうと殺害する。だからカトレーンの人々は、シャロン様に見限られる
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