第一部 刻の鼓動
第一章 カミーユ・ビダン
第一節 前兆 第四話
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ーザー・プロジェクション/VLP)キーボードとVLPマウスは旧世紀に生まれ流行しないままに埋れてしまったが、コロニー内ならばミノフスキー粒子の影響も少なく有線式の機器ならば携帯用として利便性も高い。
「エレズムがスペースノイドに定着すると、その思想を危険視した地球連邦政府に同調するかのように、アースノイドを中心にネガティブキャンペーンが行われるようになりました。この地球世論に乗って地球連邦政府は宇宙殖民地への経済統制を始めます。これが宇宙関税法で、地球製品の競争力を保護するための法律であり、スペースノイドにとっては不当に関税を掛けられて競争力を失うだけの搾取であると抗議行動が頻発することになりました。
スペースノイドのデモ行動は地球連邦政府の態度を硬化させ、宇宙世紀〇〇五一、地球連邦政府は新規コロニー開発計画の凍結を発表。これにより建設中のサイド6を以てコロニー建造ラッシュは終幕を迎えました。このことは、スペースノイドの経済的発展を閉ざしたことにもなり、基本的に都市型構造であるサイドは、人口増加も期待できず、経済は停滞を始めました。そしてそれこそが地球連邦政府の狙いでした。
この状況を危惧した地球連邦議会評議員ジオン・ズム・ダイクンは、このままでは地球圏に再び紛争が起きると予見し、コントリズム――すなわちサイド自治主義を唱えました。のちに、このコントリズムとエレズムが結びつき、ジオニズムと呼ばれる独自の主張へと育っていきます」
ジオニズムはスペースノイドのものだったとしても、コントリズムはアースノイドのジオン・ダイクンが唱えた主義だ。なのに何故、地球の人々はそれをよしとせず、地球至上主義に偏ってしまうのかが、ユィリイには理解できない。旧世紀の歴史をみても自治権拡大運動は必ず起こり、ほぼすべての国が連邦制に移行していた。飛躍的に拡大した宇宙移民に対して、連邦政府の対応が追いつかなかったというだけではない気がしていた。
だが、それが若いが故の潔癖であろうとは思わなかった。所詮、人とは自らの怠惰を隠すためにより怠惰な人を周りに配したがるという習性を持った生物なのだが、若さとはそういった清を良しとし、濁を併せ持たない純粋さなのかもしれない。
「ダイクンの自治権拡大運動は議員ら――特に移民問題評議会議員たちの反発を招き、運動は頓挫しました。しかし、孤立したジオン・ダイクンはサイド3に移住を敢行、サイド3で急速に勢力地盤を築き、翌々年の市議会選において第一党であった共和党を抑え、議長に就任、サイド3で政治革命を開始しました。そして、五年後の宇宙世紀〇〇五八年九月十四日、ジオン共和国独立宣言を行います。
これにより宇宙移民時代は終わり、地球圏は戦乱の時代を迎えます」
ユイリィたち学生にとって戦争といえば――つい七年前
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