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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十三話 フェザーン独立
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い。中途半端ではある』
もう少し反乱が長引けば欲を持つ人間が出るかもしれない。中継貿易をフェザーン回廊一本に絞れれば旨味は大きいのだ。その常態化を望む人間が動く可能性は有るだろう……。
宇宙歴 796年 9月 3日 ハイネセン 統合作戦本部 シドニー・シトレ
『仕事をしているのか、シトレ』
「当然だろう、失礼な男だな、君は」
『そう怒るな、戦争が無くなって暇を持て余しているんじゃないかと思ったんだ』
冗談かと思ったがスクリーンに映るレベロは生真面目な表情をしている。どうやら本気らしい。
「残念だが忙しい。戦争の有無は関係ない」
『フム、フェザーンは独立したしイゼルローン要塞では反乱が起きている。戦争は当分起きそうにない。何が忙しいんだ?』
いかんな、レベロは状況を理解していない。いや、軍人ではないレベロには想像出来ない事かもしれん。戦争が無い時こそ戦争に備えて準備がいるのだ。
「今、軍と国防委員会の一部で密かに検討会が開かれている」
レベロが顔を顰めた。
『密かに? 聞き捨てならんな、何だそれは。随分とキナ臭い話だが』
「……」
キナ臭いは無いだろう。我々はやましい事はしていない。
『シトレ、一体何を話しているんだ?』
「移動要塞の事だ」
『移動要塞?』
「イゼルローン要塞の反乱鎮圧が成功した場合、あれが今後の軍事行動にどういう影響を及ぼすか、それを検討している」
レベロは困惑している。やはり想像が出来ないか。
イゼルローン方面、フェザーン方面に軍事要塞を建設する。それが決定された時、軍の一部で密かに有る問題が提起された。要塞の有効性に付いてでは無い、帝国が妨害をした場合、要塞の建設は難しいのではないかという疑問だ。要塞建設には時間がかかる以上帝国軍の再建が予想以上に進めば妨害は有り得るのではないか。和平が恒久的なものになるという確信が無ければ出て来てもおかしくは無い意見だ。
ヴァレンシュタインからイゼルローン要塞攻略案が提示された時、軍と国防委員会は密かに軍技術部、民間企業の技術部に軍事要塞を移動要塞にする事が可能かどうかを検討させた。反乱との関係は触れなかった。要塞建設をハイネセン近辺で行わせれば帝国の妨害は防げる。それにイゼルローン回廊付近で建設するよりもハイネセン付近で建設した方が何かと便利ではないか、建設コストも削減出来るのではないか……。それが彼らに示した検討の理由だった。
「軍民の技術者達が出した結論は可能というものだった。幾つか問題はあるが解決は可能であると」
『おかしな結論ではないな、帝国も同じ結論を出したのだから』
事も無げな口調だ。気楽だな、レベロ。技術者達はその結論を出すまでが大変だったのだが。
「コスト面でも削減が可能だと言って
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