ルームアウト・メリー 後編[R-15]
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になった俺の所為。
何故、全てが重なってしまったのだろうか。
一つでも重ならなければ、こうはならなかったろうに。
どうして人間というのは、ままならないのか。
言い訳がましく、呟く。
「何で・・・・・・なんでこうなる前に、もっと早く教えてくれなかったかなぁ」
俺の行方が分からなかったからだ。
「何で俺は、親父にも母さんにも連絡取らなかったんだろうなぁ」
俺が二人を勝手に嫌っていたからだ。
「何で・・・何でこういうことになっちゃうんだ。家族だったはずなのに・・・どこで掛け違えたんだよ。メリーさん・・・・・・君は、分かるか?」
「貴方が悲しんでいる事くらいなら、分かるわ」
メリーはそれだけ言って、俺の頭を抱いた。優しく、泣く子をあやすように。厳しい教育に耐えられずに泣いた時に、そっと励ましてくれた母さんみたいな―――結果を出した時だけ、頭を撫でてくれた親父みたいな―――そんな、感触だった。
「なんだよ・・・もう、何もかも滅茶苦茶だ・・・君が、君がこんなもの持って来るから・・・滅茶苦茶だ・・・・・・・」
「望んだのは、貴方よ。真相を知りたがったでしょ?願望を叶えるのが私だから」
「俺は励ましてほしいとは・・・・・・思って、ない!甘えたいと願ってもない・・・!!」
「なら、きっとあなた以外の誰かが願ったんでしょう」
そう言いながら、メリーは優しく俺の背中を撫でた。
俺はそれを拒絶しようと手を振り上げたが―――止めた。メリーだって俺に殴られるためにこんなことをしている訳ではない。どこかの誰かが寄越した押しつけがましい同情の代弁者としてこんなことをしているだけだ。
諭すように、メリーが囁く。
「貴方の涙を受け止めるメリーさんがいてもいい。人の無意識の中に、そんな無償の優しさがあってもいい。だから、どこかの誰かが決めた優しさに、今は甘えてもいいの」
「・・・・・・ッ!ぅ・・・うぁああ・・・!くっ、ひっく!ぐぅ・・・ぁあああああ・・・!」
病室には、暫く俺の嗚咽としゃくりあげる声だけが響いた。
メリーはそれ以上、何も言わなかった。
今になって思えば、こうも思うのだ。ひょっとして、それを望んだのは俺自身なのかもしれない。俺が、このずっと無表情だったメリーにも人間らしい感情があって欲しいと望んだのかもしれない。
それとももしも、結果が先に用意され、それを俺とメリーが辿っただけだったとしたら―――きっと、俺とメリーは同じ場所に立っているのかもしれない。
= =
結局俺は職場に諸事情を伝えて改めて休暇を取り、家族の葬式や遺産配分や、様々な事を片づける事になった。どうやら親父は死ぬまでに自分の墓作りから遺書作成まで一通りのことを済ませたう
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