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久遠の神話
第百七話 決戦の前にその十

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「その作品をね」
「読みましょう」
「はい、では私はこれで」
 ここまで話してだった、高代は微笑んで二人に述べた。
「学業の方を頑張って下さい」
「はい、そうさせてもらいます」
「是非」
「そうして下さい、そして」
 ここでだ、高代の目は鋭くなった。そのうえで今度は上城にこう言ったのだった。
「上城君もです」
「僕ですか」
「はい、間もなく最後ですね」
「もうすぐです」
 高代が何を言っているのかすぐにわかった、それで上城も確かな顔になってそのうえで彼に応えたのである。
「戦ってきます」
「そうですね、では」
「この戦いをですね」
「終わらせて下さい」
 優しい穏やかな笑顔での言葉だった。
「是非共」
「そうさせてもらいます」
「吉報を待っていますので」
 高代は教師、それも良識あるその顔で上城に告げた。
「それでは」
「わかりました」
 こう話してだった、そのうえで。
 高代は上城と樹里の前を後にした、そうしてだった。
 二人は剣士としての最後の戦いのことを思いながらも課題を進めていった、その志賀直哉のことを学ぶのだった。
 日は近付いていた、それも刻一刻と。
 それは聡美達も同じだ、聡美は自宅の窓から月を見上げつつ共にいる智子と豊香に対して決意している声で言った。
「月が動いています」
「ええ、満ちていっているわね」
「次第に」
「あの月が満月になれば」
「その時に、ね」
「いよいよ」
「最後の戦いが行われます」
 まさに、と言う聡美だった。
「剣士の」
「そしてその流れ次第で」
「私達とお姉様は」
「若しそうなろうとも」
 その時は、というのだ。
「私は」
「ええ、私達もね」
「その時は」
「戦いましょう」
 ここでだ、聡美は自分の後ろに立っている姉妹達に顔を向けて言った。
「そうしてでも」
「お姉様を止めましょう」
「何があろうとも」
「はい」
「例えあの方と戦うことになろうとも」
「そうなっても」
「覚悟は決めましたので」
 だからだというのだ。
「もう躊躇はしませんね」
「貴女がそう言うのなら」
「私達も」
 二人もこう言ってだ、そうしてだった。
 三人で決意を固めた、女神達も最後の戦いに想いを向けていた。


第百七話   完


                           2014・4・23
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