第七十九話 マラソン大会その三
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「あれでマラソン完走とかな」
「無理よね」
「ちょっと以上にな」
美優は定食の中のほうれん草のおひたしを食べつつ琴乃に答えた。
「あの服は」
「じゃあね」
「ああ、仮装するならマラソンだから」
長時間走らなくてはならない、だからだというのだ。
「動きやすい服にしないとな」
「じゃあ軍服?」
「そうなるか?」
話は自然に仮装の方に傾いた、ジャージから。
「受け狙いでいくのなら」
「軍服ねえ」
彩夏は軍服と聞いてだ、琴乃が食べているモダン焼きを見た。琴乃はモダン焼き定食を頼んでいたのだ。
「それなら面白いの?」
「面白いのって?」
「日本軍だと結構皆知ってるから」
だからだというのだ。
「もっと面白い軍隊?」
「面白い軍隊って何時の何処の軍隊なの?」
琴乃は彩夏に具体的に問うた。
「それだと」
「ううん、そうね」
彩夏は食べつつ少し考えた、そうしてこう琴乃を含めた四人に答えた。
「ナポレオンとか」
「あの時代のフランス軍?」
「青い軍服?」
「オスカルも考えたけれど」
これもまたベルサイユの薔薇である。
「近衛兵とか」
「あれ動きにくいと思うわ」
里香はオスカルのあの軍服を思い出してこう彩夏に返した。
「軍服だけれど」
「装飾多いからね」
「それもかなりね」
「壮麗だけれど」
確かに見栄えはいい、しかしなのだ。
「デザインとか見ると」
「ちょっと以上に、でしょ」
こう景子に言う里香だった。
「オスカル将軍は」
「ええ、けれど」
「けれどって?」
「彩夏ちゃん今将軍って言ったけれど」
そのオスカルをだ。
「あの人将軍だったの?」
「何かなってたわよ」
作品中で、というのだ。
「読んでたらね」
「そうだったの」
「ええ、それでお母さんから聞いたら」
彩夏の母もベルサイユの薔薇を読んでいた、それで娘にそのオスカルのことを話してくれたというのだ。
「オスカルって死んだ時三十四歳だったそうよ」
「二十代だと思っていたけれど」
「あの漫画リアルだから」
時代設定も作品中の時の流れもだ、そうした細かいところまで実に良く考えて描かれている作品なのだ。
「登場人物も歳取るから」
「それでなのね」
「三十四歳でね」
その時に、というのだ。
「バスティーユへの攻撃に参加してね」
「あの最後の場面ね」
「そう、死ぬのよ」
「そうだったのね」
「確かに作品中は若いけれどね」
その外見は、というのだ。
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