第三話 二
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「ひっ……!」
小豆の近くに居たアリスは、恐怖で顔を青くして、結月の方へ小走りで近づき彼女の腰にしがみつく。
アリスが危険だと判断したナナシは、急いで人間からデセスポワールの形態に変身すると、聴覚になっている傘を広げる。
音を探知して敵の居場所を探る為だ。
「天羅、お前の近くに透明の敵が居るぞ、目の前だ」
「なんだと、了解だ!」
天羅は突撃銃を構えて、引き金を引き銃弾を発射口から飛ばす。天羅は見えない敵に一発でも当たるよう、扇状に弾をばら撒くよう撃ち続けた。
すると、ナナシが言っていた通り、肉を穿つ音が目の前から響き、唐突に胸を撃たれてのたうち回る軍服を着た人間が姿を現した。
「な…… 化物じゃなくて人だと?」
「お前らが呼称する『適合者』だろう、次が来るぞ、足下だ」
天羅はナナシの言葉を聞いて、すぐにバックステップして立っていた場所から素早く離れる。
彼が立っていた地面にボコッと穴が現れ、そこからモグラのような爪を持った血まみれの以前の死んだ人間と同じ軍服を着ている男が飛び出してきた。
だが、既に現れる事を察知していたナナシが素早く男に近づくや、尻尾の刃で首を飛ばした。
頭部の無くなった男だった肉体は空中から落下して真っ赤な液体を地面に撒き散らしながら倒れる。
「何故適合者がデセスポワールになってもいないのに俺達を襲うんだ!? それにこいつらが着ている服は、俺達と同じ軍服!?」
「集中しろ、二人だけじゃ無いようだ」
天羅達の目の前にはいつの間にか、複数の軍人が銃を構えてこちらへ近づいて来ており、全員が何故か殺気立っていた。
「クソッタレ、俺達は敵じゃない! お前達と同じ人間だ!」
彼は毒づきながらも、自分達に危害を加えないよう説得しようとする。
だが、相手は彼の言葉を無視し、全員引き金を引いて彼らに向けて一斉射撃をした。
「ぐっ」
「ナナシ!?」
天羅達を守るようにナナシが前に出て、傘を広げて甲殻のように固める。銃弾を防ぐ防波堤の役割を果たそうと立ち塞がった。
銃弾は彼に直撃し、ナナシは衝撃で少しだけ呻く。
「相手が何だかサッパリ分からないが、確実に俺達を殺そうとしているのは明確だ! 反撃しつつ後退するぞ!」
天羅は銃を構えて、相手が人間でも躊躇わずに引き金を引いた。
彼が撃った弾は敵の胴と頭に命中し、一人倒れる。しかし、一人倒したとしてもまだ敵の数は多く、仲間をやられた敵が今度は天羅へ狙いを定めて銃を撃つ。
天羅はその場からすぐに下がり、転がって回避行動するも、不運にも流れ弾が彼の左肩と右足に命中してしまう。
「ぐはっ!?」
「天羅大丈夫!?」
腰撃ちで身体を引き摺りながらも
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