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狼新聞
第二章
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「それも何度もな」
「娼婦になった経緯もな」
「生年までな」
 とにかく何から何まで食い違っていたのだ。
「普通人間生年まで間違えないだろ」
「言ってることに信憑性ないな」
「ああ、全くな」
 こう結論が出た。
「ありゃ嘘だな」
「おい、結局何処でも軍が人攫いなんてしていなかったぞ」
 この証拠も出て来た。
「あの官文書だってよく見たらそうした悪質な業者が出ているから軍が取り締まるようにっていう話だったしな」
「それが何で軍が人攫いしてたって証拠になるんだ?」
「これって印象操作だよな、軍が関与していたっていうことを逆手にとって」
「つまりだ」
 ここでまた結論が出た。
「嘘だったってことだな」
「ああ、そうなるな」
「嘘だったんだな」
「また、な」
「またやりやがったなあの新聞」
 そして今度も嘘が暴かれたのであった。
 その結果だ。この件でも新聞社に批判が集中した。しかしである。
 新聞社はてんとして恥じずだ。一面で居丈高にこう書いたのであった。
「歴史は塗り替えられない」
 その娼婦についても完全に居直りだった。知っている者はこの破廉恥さに誰もが呆れ、そして怒った。批判が殺到したのだった。

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